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 筋原線維と腱原線維とがたがいに直接に続いているのか(Fick,Golgi, Kölliker),あるいは腱原線維が接合質によって筋線維, いっそう厳密にいえば筋鞘の管の円くなった端のところでくつづいているのか(Ranvier, W. Krause, Toldt)という問題は,O. Schultzeによりすこぶる見事な標本を基にして解決されている.O. Schultzeによれば,筋原線維と腱原線維とは直接にたがいにつながっている(図472).筋原線維が膠原原線維に移行することは,後者が筋鞘を貫いて筋線維(すなわち筋鞘の管)の内部に入ったところで行われる.

 この説は Baldwin, Herwerden, Péterfi, Häggoquistにより反対されているが,Sobotta. Studnicka. Quast, Grothはそれを確認している.

 Studnicka. Z. f. Zellforsch., 26. Bd.,1937 の仕事はこの問題に関する文献を挙げて,いろいろ異なる意見を概括的に述べている.

 腱が骨格の各部と結合するのは骨膜および軟骨膜の仲介により,あるいは直接的な方法で行われている.直接に結合する場合は,その境界に軟骨細胞がみられることが稀でなく,更に腱の境界部が石灰塩を含んでいることがある.

[図471] 筋線維と内筋周膜が腱線維と結合するところ a筋線維, b腱線維.×100(Toldtによる).

[図472] 筋原線維と腱原線維とが直接に連続するところ  ヒトの内肋間筋の一部(O. Schultze. )

d)筋および腱の神経

 筋のもつ神経は一部は運動神経,一部は脈管神経,なお一部は知覚神経である.神経は筋の内部で枝分れしていて,網状構造, すなわち終末神経叢Enddplexusを形成し,これから終末線維がでている.終末神経叢の内部およびそれを越えた向うで有髄線維がくり返し枝分れする.

 終末線維は筋線維に対してどの脊椎動物でも全く同じ態度をとっているとは限らない.軟骨魚類,爬虫類,鳥類および哺乳類では特異な板状の形をしたもの,すなわち運動終板motorische Endplatten,神経丘Nervenhügetがあり,これは運動神経線維と筋線維とのあいだの結合を仲介している.哺乳類では1本の筋線維にただ1つの運動終板があるのが普通である.

 運動終板のかたちはたいてい楕円形で,筋線維の全長の真中あたりにあり,筋線維の横の周りのおよそ1/3を占めている.有髄線維はそのような神経分布の個所に達し,そして先ずその髄鞘を失う.神経線維めシェワン鞘Schwannsche Scheideは筋鞘と融合する.一方,軸索は筋鞘の下に(hypolemmal)ある運動終板に入り,そこで鹿の角(爬虫類,鳥類および哺乳類では多くの場合にトナカイの扁平な角)のかたちに枝分れしている(Kühne, 図473).その鹿の角のようなものは終末原線維の叢であるが,それを取り入れている物質は細かい顆粒状の性質であって,おそらくそれは筋線維の全体を貫いて存在する筋形質がひに小さい集りをなしているに他ならないであろう.細かい顆粒性の物質は若干数の核をもっているが,この核はおそらくは筋線維の普通の核と同じ由来のものであろう.

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最終更新日13/02/03

 

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