Band1.348   

 

神経線維と筋線維との数の関係

(オスミウム酸染色法, Davenport渡銀法によれば,神経線維と筋線維との数的関係は眼筋1:5.5,喉頭筋1:28,四肢筋1:40,横隔膜1:84である(大島哲郎:解剖学雑誌,9巻,114,1936).

 運動神経線維は,これが末梢を走っているあいだに幾重にも分れている.それゆえ1本の神経線維が多数の筋線維を支配している.その数は筋によっていろいろと異なっている.すなわちBorsによれば,人の眼筋では1本の神経線維がおよそ5~6本の筋線維を支配するというが,Wohlfartによればそれは10本であるという,またBorsによれば半腱様筋では約50本の筋線維が1本の神経線維に対応するという.他方,Wohlfartによれば四肢の筋では200~300本の筋線維が1本の神経線維により支配されるという.

 Bors. E., Anat. Anz., 60. Bd.,1925/26.--Wohlfart, G., Z. mikr.-anat. Forsch, 37. Bd.1935.

[図478] 腱紡錐(L. Saraの標本による)

[図479] 筋の終動脈とそれが毛細血管に分れるところ 家兎の骨格筋で血管に注入したもの.

e)筋および腱の血管

 筋および腱に入ってくる動脈は一般に2本の静脈を伴い,枝分れして先ず荒い目や細かい目の網をつくっている.その細かい目の網から更に細い動脈がでて,これは筋線維の方向とたいてい直角に交わって,筋の終動脈Endarterienとなっている.つまりこの細い動脈のたがいの間には比較的太い吻合が少しもみられないのである.

 これはもはや静脈を伴わずに,つまり動脈と静脈とがかなり大きい間隔をたもってたがいにならびつつ筋の内部を通っている.それらからでる細い非常に数の多い血管は,筋線維の方向にしたがっている(図479).各々の筋線維はその周りのいろいろな場所で多数の毛細管を伴っている(図476も参照);直角方向の吻合が縦走する血管のあいだをたがいに結びつけている.これによって毛細血管の網は直角に交わる網目をあらわしている.この網から血液を他に導きだす静脈は,その細いものであっても多数の弁をそなえている.各々の筋は周囲に対しては,ほとんど隔絶した,ほず完全に筋の中に閉じこめられた1つの血管系をもっている.隣接するものとの間にある血管の結合は細くしかも数が少いのである.

S.347   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る