Band1.357   

 頭板状筋M. splenius capitisは第3頚椎ないし第3胸椎の棘突起からおこり,胸鎖乳突筋の停止部に被われて,乳様突起の外側面にこの突起の尖端まで,および僧帽筋の外側縁の近くまでの分界項線に付着している.

 頚板状筋M. splenius cervicisは第3ないし第6胸椎の棘突起からおこり,2尖頭に分れて第1および第2頚椎の肋横突起の後結節に付着している.

 神経支配:1~IV頚神経の後枝によるが,時として更にV頚神経,稀にはVI頚神経も加わる(Eisler).

 脊髄節との関係:C. (1)II~V(VI).

 作用:この筋は1側だけはたらくときには頭を側方に廻し且つ傾けるのにあずかるが,それは回転するのと同じがわた傾けるのである.両側の板状筋がいっしょにはたらくときには頭が後方に曲げられる.

 変異:この筋が全く欠けていることがある(Testut, Le Double).とくに有色人種では頭および頚板状筋が全く分離していることがある.第3の停止尖頭が第3頚椎の肋横突起に達していることがある.板状筋の上で,更に上後鋸筋の起始の上に接して,時として幅の狭い筋がみられる(8%).これは最下部の頚椎または最上部の胸椎の棘突起から環椎の肋横突起に達している:これは菱形環椎筋M. rhomboatlanticus von Macalisterであって,また副板状筋M. splenius accessoriusとも呼ばれる.

2. 仙棘筋M. sacrospinalis. (図484, 485)

 この筋は仙骨の後面, 最下部の腰椎の棘突起,腸骨稜の後部,腰背筋膜の内面から起り,2個の筋すなわち腸肋筋M. iliocostalisおよび最長筋M. longissimusよりできている.

a)腸肋筋M. iliocostalisは腸骨稜および第3~第12肋骨の上縁よりおこる.肋骨からおこる筋束は内側からこの筋に加わる.この筋の外側からは筋肉質に富む筋束がでて,その腱は全部の肋骨の肋骨角および第4~第6頚椎の肋横突起に付着している.そのさい肋骨への停止束は上部のものほどいっそう長く,またいっそう腱性の部分が多い.

 一つの停止尖頭が第7頚椎, 更にまた第3頚椎にまでも達することがある.起始および停止の尖頭を適宜に解剖すると1つの美しい格子,すなわち腸肋格子 Iliocostalisgitterがみられる.

 神経支配および脊髄節との関係:(C. VIII) Th.1~L.1よりの枝.

 Nishi, S. (Arb. a. d. anat. Inst. d. Univ. z. Sendai 1918)はFasciculi intercostales dorsales(背側肋間筋束)という名前で薄い2~3~5 mmの幅の筋束を記載している,この筋東は隣接する2本の肋骨の間で外肋間筋の背面の上を,かなり真つ直ぐ に上下の方向に走る(第7肋間隙に特にしばしばみられ,ついで第6および第8肋間隙に,第4,第5,第9肋間隙には非常に稀にみられる).この筋はすぐ上の肋間神経によって支配される.

b)最長筋M. longissimusは1つめ腱板を介して腰椎全部と第1~第4仙椎の棘突起,腸骨稜の後部ならびに長後仙腸靱帯からおこり,また上部腰椎の肋骨突起ならびに全胸椎の横突起から(時としては更に第7頚椎の肋横突起からも)おこる;この筋は腰部および胸部では2列の停止をもち,頚部および頭部では1列の停止をもっている.1個の胸および頚最長筋と1個の頭最長筋とに区別できる.

 胸および頚最長筋M. longissimus dorsi et cervicisは内側尖頭をもって腰椎ゐ副突起および胸椎の横突起全部に停止し,また外側尖頭をもって腰椎の肋骨突起とここからでる腰腱膜との幅いっぱいに終り,なお第12~第2(第3)肋骨の下縁で肋骨角の内側に終り,そのうえまた第2~第5頚椎の肋横突起の後結節に停止している.停止尖頭は,この筋の下部では厚く且つ筋肉質に富んでいるが,上部のものほど幅が狭くなり且つ腱性の部分が多くなる.

 上部腰椎および下部胸椎の範囲で乳頭突起から内側停止腱に向う筋束があってFasciculi mamillotendinei(乳突腱筋束)と呼ばれる.

 変異:頭最長筋との結合はほとんど常にみられる.

S.357   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る