大動脈裂孔を越えたところで両側の内側脚が交叉するが,また間もなく離れてそのあいだに筋肉性に縁どられた第2の孔である食道孔Foramen oesophagicumを囲み,ここを食道が通っている.それからあとで腱中心に移行している.

[図504]胸横筋Musculus transversus thoracis(11/20) 前胸壁の後面.

 中間脚Crus intermediumは内側脚の一部で大内臓神経によって境された外側の部分である.

 Stadtmüller(Anat. Anz., 62. Bd.,1926/27)は30例中5例だけに両内側脚が大動脈裂孔を越えたところで交叉するのをみたが,残りの25例では食道孔がたジ右の内側脚だけから作られていた.一食道孔は大動脈裂孔よりもさらに左側にあるものは57.5%,いっそう右側にあるものは18.4%,これと同じ矢状面にあるものは24.1%である (Heidsieck, Anat. Anz., 66. Bd.,1928).

 外側脚Crus lateraleは2つの腱弓から出ていて,これらは腱弓が橋のようにその上を越えている筋によって腰筋アーチArkade des Psoas, および腰方形筋アーチArkade des Quadratus lumborumと呼ばれるが,さらに内側および外側腰肋弓Arcus lumbocostalis medialis et lateralisとも,名づけられている.内側腰肋弓は第1(あるいは第2)腰椎体の側面からこの同じ腰椎の肋骨突起の先端に張っている.外側腰肋弓は内側腰肋弓に直接につづいて第1(あるいは第2)腰椎の肋骨突起から第12肋骨の先端に向って張っている.

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最終更新日13/02/03

 

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