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さらに他の器官との結合としては特に次のものがある.すなわち内側脚からでて食道に達する束はM. phrenicooesophagicus, 胃に達するものはM. phremcogastrlcus,肝臓に達するものはM. phrenicohepaticus,腸間膜に逮するものはM. phrenicoperitonaealisである.最後のものはLe Doubleによると十二指腸提筋M. suspensorius duodeni(Treitz)と同一のものである.腱中心の中あるいはその下に横隔膜下筋Unterzwerchfellmuskelnという筋束がみられる,篩骨のたくましい人では横隔膜の内側脚が第5腰椎にまでも達している.内側脚および中間脚はたがいに融合していることがある.Le Doubleは外側腰肋弓がある時は第3腰椎の肋骨突起から,またある時は第2と第3腰椎の肋骨突起から起るのをみている.

[図507] 腋窩筋膜Fascia axillaris 右側.(Eislerによる)

胸筋筋膜および腋窩筋膜Fasciae pectorales et Fascia axillaris

 胸壁には3つの筋膜がある,すなわち浅胸筋膜,鎖骨胸筋膜および胸内筋膜である.

1. 浅胸筋膜Fascia pectoralis superficialis.

 これは上方は鎖骨と,内側は胸骨と結合し,外側では三角筋大胸筋三角の中に入り込み(379頁参照),ここで鎖骨胸筋筋膜Fascia clavipectoralis(Clavipectoral fascia)と融合する.

 浅胸筋膜は浅腹筋膜Fascia superficialis abdominisに続き,同時に大胸筋の下縁から広背筋へと移ってゆき,腋窩の範囲では腋窩筋膜Fascia axillarisと呼ばれる.腋窩筋膜は皮膚と比較的かたくくっつき,そのために皮膚が深くへこんで腋窩を形づくつている.

 腋窩筋膜は大胸筋と広背筋とのあいだに広がる弓状のかなり強い線維の流れをなし,これはランゲル腋窩弓Arcus axillaris, Langerscher Achselbogenと呼ばれている,第2の弓状線維束は腋窩の上外側の境にあって,その凹面を体幹の方に向けており,上腕弓Arcus brachialisと名づけられている.両弓(腋窩弓と上腕弓)の間にある卵円形の場所は筋状に孔のあいた腋窩筋膜のはなはだ疎な部分,すなわち腋窩篩板Lamina cribriformis axillaris(Eisler)であり,そのずきまは脂肪組織で満たされ,血管・リンパ管・神経が通っている(図507).

2. 鎖骨胸筋筋膜(烏口鎖骨胸筋筋膜)Fascia clavipectoralis(Clavipectoral fascia)

 これは大胸筋のうしろで小胸筋と鎖骨下筋の上にあり前者よりいっそう強く,烏口突起と鎖骨とにしっかりと結合し,鎖骨下筋および小胸筋のうしろにある脈管と神経とを被っている.この筋膜は外方では腋窩筋膜にまで達し,これと融合する.

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最終更新日13/02/03

 

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