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 変異:この筋の下部には1本あるいは2本の腱画が見られ,これはよく発達していることもあり,あまり発達していないこともある.W. Krause(1876)によればこの筋は4頭よりなるM. quadrigeminus capitis(頭四叉筋)とみなすべきであるという.すなわちCaput sternomastoideum(胸骨乳突部),Caput sternooccipitale (胸骨後頭部),Caput cleidomastoideum (鎖骨乳突部), Caput cleidooccipitale(鎖骨後頭部)の4頭よりなる.これらの4つの筋がいろいろなぐあいに離合集散することによってこの筋の変異が説明できる.胸骨乳突部が(非常にまれではあるが)欠如していることがあり,比較的しばしば鎖骨後頭部あるいは胸骨後頭部が欠けていることもある.胸骨後頭部は(まれに)独立していることがあるし,鎖骨後頭部が独立していることはしばしばである(Woodによれば36%).

 M. transversus nuchae(項横筋)という筋が見られることはきわめて多い.この筋は僧帽筋の下にあることが多く,またこの筋の上にあることもあり,外後頭隆起のあたりから起り乳様突起に向って水平あるいは弓状に走っている.その少数の線維が分界項線に付着している.

[図508] 頚部の筋および舌骨上筋II(11/20) 右:広頚筋を取り除き胸骨舌骨筋ならびに肩甲舌骨筋の上腹を切断してある.左:広頚筋と胸鎖乳突筋とを取り去ってある.

3. 胸骨舌骨筋M. sternohyoideus. (図506, 508, 509)

 この筋は扁平な幅の狭い筋であって,胸骨柄の後面で,胸鎖関節ならびに鎖骨の胸骨端から起っている,この筋は上行しつつ幅が狭くなり,両側のものが内側に向って集り相ならんで舌骨体の下縁に停止している.

 停止部と舌骨甲状膜との間には,胸骨舌骨筋嚢Bursa m. sternohyoideiという粘液嚢があり,これは他側の同じ滑液包と通じていることがある.

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最終更新日13/02/03

 

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