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頚筋膜Fasciae colli, Binden des Halses

 頚部には3葉の筋膜が区別される,すなわち浅頚筋膜Fascia colli superficialis,中頚筋膜Fascia colli media,深頚筋膜Fascia colli profundaである.その浅葉は概して薄いのであるが,若干の場所でだけ比較的じようぶになっている.しかしその深葉および椎前筋膜はいっそう固くて,ところどころで腱のような輝きをもっている.

1. 浅頚筋膜Fascia colli superficialis. (図511, 512)

 この筋膜は広頚筋の下にあり,下顎骨の下縁の前部,舌骨,両側の鎖骨の上縁に付着している.

 舌骨より上方では顎下腺の外面を被っており,広頚筋とともに下顎骨下縁の後部をこえて顔面へと延び,顔面では頬骨弓に付着し,ここに終っている.(その耳下腺咬筋部にある部分は以前に耳下腺咬筋膜Fascia parotideomassetericaと呼ばれた).浅頚筋膜は胸鎖乳突筋部では繊細な層をなして胸鎖乳突筋の外面を被い,そのうしろでは外側頚三角Trigonum colli lateraleの中を僧帽筋の前縁に向い,このあたりで浅背筋膜と合する.また, この筋膜は中頚部においては両側の胸鎖乳突筋のあいだで中頚筋膜の前にある,そして胸鎖乳突筋の被膜は,その前縁でこの筋膜と合する.外側頚三角の下部では,その浅葉が比較的じようぶになっている.後浅頚静脈が大鎖骨上窩でこれを貫つらぬくところをめぐって,線維が外側上方に凹の弓形をして列んでいる.

[図512]頚筋膜 第6頚椎 の高さにおける頚部の横断.

2. 中頚筋膜Fascia colli media. (図511, 512)

 この筋膜は丈夫な結合組織の板であって,舌骨から胸骨および鎖骨にまで達している.

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最終更新日13/02/03

 

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