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その前腹がまれに下顎角から副筋束を受けることがある.板状筋,顎舌骨筋,茎突舌骨筋,オトガイ舌骨筋,僧帽筋とこの筋との結合が知られている.

2. 茎突舌骨筋M. stylohyoideus. (図506, 508, 509, 519, 522)

 この筋は茎状突起の上外方部から起って,舌骨の小角に向って走る.筋腹は一般にその停止の前で2つの束に分れ,これらが顎二腹筋の中間腱を囲む.その平たい終腱は舌骨の大角の基部に付着している.

 神経支配:顔面神経の二腹筋枝の茎突舌骨筋枝による.

 作用:舌骨を上後方に引く.

 変異:この筋は事実上あるいはただ外見的に欠けていることがある.外見的の欠如というのはこの筋が顎二腹筋の後腹と合している場合である.この筋は時どき顎二腹筋によって貫かれていない.そのときセこは,顎二腹筋の中間腱に停止していることがしばしばであるが,あるいはその内側または外側を通り過きている.この筋は重複していることもあり,また3個になっていることさえもありうる.過剰筋束の走行および停止はすこぶるまちまちである.顎二腹筋,肩甲舌骨筋,茎突舌筋,舌骨舌筋,オトガイ舌筋とこの筋の結合が知られている.

[図522] 舌骨の前面における筋の起始と停止

3. 顎舌骨筋M. mylohyoideus. (図506, 508, 509, 521)

 この筋は下顎骨の顎舌骨筋線から起り,その一部は舌骨に,他の一部は下顎棘から舌骨に達する線維性の条に停止している.この条において他側の同じ筋と縫線Rhapheを作って合し,筋性の口腔底の主要な部分をなしている.縫線では一側の筋束が他側に入ってゆくこともしばしばである.

 神経支配:顎舌骨筋神経による.

 作用:舌骨を引きあげ,あるいは下顎を下方に引く.

 変異:この筋は全く欠けていることがあり,顎二腹筋の前腹によって代られていることもある.2つあるいは多数の筋束に分れていることがしばしばある.

 --顎二腹筋,胸骨舌骨筋,茎突舌骨筋,肩甲舌骨筋,オトガイ舌骨筋との結合が知られている.

4. オトガイ舌骨筋M. geniohyoideus. (図509, 521, 522)

 この筋は顎舌骨筋に被われていて,頚舌骨筋棘から起り,舌骨体に停止している.この筋の上に舌の項で述べる力づよいオトガイ舌筋がある.

 神経支配:舌下神経による.

 作用:舌骨を前方に引く.

 変異:Theileによればオトガイ舌骨筋のすぐ外側に1つの小筋束がみられるのが普通であって,これは舌骨の大角の基部に達している.

頭部の筋膜Fasciae capitis, Binden des Kopfes

1. 側頭筋膜Fascia temporalis. (図514, 516)

 この筋膜は前頭骨と側頭骨との側頭線ならびに頭頂骨の筋膜側頭線にはじまり,これらの場所では頭蓋骨の骨膜と結合しており,頬骨弓め上縁へと強く張って広がっている.この筋膜は起妨においては1枚であるが,頬骨弓よりいくらか上方に離れたところで2枚となり,すなわち浅板Lamina superficialisと深板Lamina profundaとに分れて,そのあいだに脂肪組織を入れ,それぞれ頬骨弓の外側面と内側面とに付着している.

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最終更新日13/02/03

 

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