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 神経支配:腋窩神経による.

 脊髄節との関係:C. V, VI.

 作用:上腕を引きあげるが,さらにこれを前およびうしろに引くことができる.

 変異:肩峰部Pars acromialisはときどき欠如しており,鎖骨部Pars clavicularisはまれに欠けている.鎖骨部はしばしば独立して,多少とも幅のある裂け目によってその他の部分から分けられている.上腕骨におけるこの筋の停止が,時として通常の位置よりも上方にあり,あるいは下方にあることもある.ふつうにその停止は上腕骨の上方1/3をこえた所にある.過剰の筋束が肩甲骨の椎骨縁や棘下筋膜から(M. basiodeltoideus(底三角筋)),肩甲骨の腋窩縁から(M. costodeltoideus(肋三角筋)),また表層では鎖骨の肩峰端から(M. acromioclavicularis lat. (外側肩峰鎖骨筋))来ている.他の筋との結合としては,大胸筋・僧帽筋・棘下筋・広背筋・腕橈骨筋・上腕筋と続くものがときとして存在する.

 肩峰の上には,皮下の粘液嚢,すなわち肩峰皮下包Bursa subcutanea acromialisがみられるが, これは常にあるとは限らない.

[図525, 526] 右鎖骨における筋の起始と停止 図525. 上面. 図526. 下面.

[図527] 肩甲骨における筋の起始と停止 右の肩甲骨の肋骨面.

2. 棘上筋M. supra spinam, Obergrätenmuskel. (図523, 524, 534)

(古泉によれば日本人の棘上筋の全長は白人よりは長く,アイヌ人よりは短いと(古泉光一:日本医科大学雑誌,5巻,1063~1083,1934).)

 この筋は三角形である.棘上窩の壁および棘上筋膜から起り,肩峰の下を通り,その終腱によって肩関節の関節包と癒合し,上腕骨の大結節の上部に付着している.

 神経支配:肩甲上神経による.

 脊髄節との関係:C. V.

 作用:上腕骨を上にあげることにあずかる.

 変異:この筋の変異は大して薯しいものがない.Le Doubleは副筋束および,この筋の腱が近在の筋と結合する若干の例を述べている.

3. 棘下筋M. infra spinam, Untergrätenmuskel. (図523, 524, 534)

 この筋は三角形をしており,棘下窩の大部分から起り,肩関節の関節包の上をこえて走り,大結節の中央部に停止している.

 その終腱と関節包とのあいだには棘下筋嚢 Bursa m. infra spinamという1つの粘液嚢の見られることがある.

 神経支配:肩甲上神経による.

 脊髄節との関係:C. V, VI.

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最終更新日13/02/03

 

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