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 Fickによれば肩甲下筋腱嚢Bursa tendinis m. subscapularis(図531)という1つの粘液嚢が,この腱と肩関節包とのあいだに存在する.これは烏口突起の基部のところにみられる粘液嚢,すなわち烏口下嚢Bursa subcoracoidea(図530)と多くのばあい続いている,後者は常に肩関節腔と連なっている.

 神経支配:肩甲下神経IおよびIIによる.

 脊髄節との関係:C. V, VI.

 作用:この筋は上腕を内側に回し,これを内転し,同時に関節包を緊張させる.

 変異:この筋は若干の(多くは2つの)独立した筋束からできていることがある.M. subscapularis minor(小肩甲下筋).として1つの副筋束が挙げられているが,これは肩甲骨の腋窩縁から,またしばしば間節下粗面から,あるいはまた上腕三頭筋の長頭から起って,小結節稜に停止するものである.

[図531] 肩部の粘液嚢 (大要はTestutによる).

b)上腕の筋群Musketn des Oberarmes

 上腕においては2群の筋を区別する.すなわち屈筋群Flexorenと伸筋群Extensorenとであり,これらの筋群は外面では多少とも深みのある溝,すなわち尺側および橈側上腕二頭筋溝Sulcus m. bicipitis brachii ulnaris et radialisにより境されている.両筋群は上腕の下方1/2では,内側および外側にある1つの膜,すなわち尺側および橈側上腕筋間中隔Septum intermusculare ulnare et radialeによってたがいに分けられ,これらの中隔は上腕骨の両側の骨稜に付着している.そのうち内側の中隔の方がいっそう強いのである.

α)掌側の筋群volare Gruppe

1. 上腕二頭筋M. biceps brachii, zweiköpfiger Armmuskel. (図523, 529, 535)

 この筋は横断面が円味をおびた,紡錘状の筋であって,2頭よりなっている.その長頭Caput longumは肩甲骨の関節上結節から,また2脚性に関節唇から起り(図410),上腕骨頭の上で肩関節の関節包を貫き,結節間溝を通り,ここでは結節間滑液鞘Vagina synovialis intertubercularisに包まれており(図409),次いでその筋腹に移行する.

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最終更新日13/02/03

 

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