歴史的な偉大な解剖学書
手指の腱の通る管と腱鞘dorsale Sehnenkanäle und Sehnenscheiden
背側手根靱帯Lig. carpi dorsaIeは,一部は骨性の,一部は靱帯性の下敷とともに,多くの腱が通り且つ腱の位置を固定するためのきまった管を作っている.これらの腱はみな図552のなかに示された名前の滑液鞘で包まれている.それを橈側から数えると,全部で6個の管がある(図544, 552).
これらの管はそれぞれ次のように定つている.
第1の管を長母指外転筋および短母指伸筋の腱が通る.
第2の管を長, 短の両橈側手根伸筋の腱が通る.
第3の管を長母指伸筋の腱が通る.
第4の管を総指伸筋および固有示指伸筋の腱が通る.
第5の管を固有小指伸筋の腱が通る.
第6の管を尺側手根伸筋の腱が通る.
手背筋膜Fascia dorsalis manusは非常に薄くて,ゆるんでいて,皮膚と同じように容易にずらすことができる.手背の深部に背側骨間筋の背面を被う1つの筋膜葉がある.
皮下の粘液嚢subkutane Schleimbeutelについては,ここでは次のものをあげておく(図552).
背側中手指節皮下包Bursae subcutaneae metacarpophalangicae dorsales(その存在は不定),これは中手指節関節の高さで指背腱膜の上にある.最もしばしば小指のところにみられるものである.
指背皮下包Bursae subcutaneae digitorum dorsalesは同じく皮膚のすぐ下で指背腱膜の上にあり,しかも指関節の高さにある.これはほとんど常に基節骨と中節骨とのあいだの関節のところにあり,ときに第2および第4指の中節骨と末節骨とのあいだの関節のところにもみられる.
中手指節間嚢Bursae intermetacarpophalangicaeは横[中手骨]小頭靱帯の背方で第2~第5中手骨小頭のあいだで,背側および掌側骨間筋の腱のあいだにある.
[図552] 手背の腱鞘 色素を注入してある.
最終更新日13/02/03