Band1.464   

β. 脛側筋群すなわち内転筋群tibiale oder Adduktorengruppe

1. 恥骨筋M. pectineus. (図562, 563, 565, 568, 569, 571)

 この筋は恥骨櫛およびこれより外方にある恥骨枝の寛骨臼部の面から,なおまた恥骨筋膜から起り,股関節の内側を走って恥骨筋線に停止している.

 恥骨筋包Bursa m. pectineiという粘液嚢がその停止腱と大腿骨とのあいだにある. 恥骨筋と腸腰筋とのあいだには大腿部の1つのへこみ,すなわち腸恥窩Fossa iliopectineaがある.ここには大腿動静脈および大腿神経の上部が存在する.

 神経支配:閉鎖神経の浅枝および大腿神経による.

 脊髄節との関係:LII, III.

 作用:この筋は大腿を曲げ,且つ内転し,これを外方に回す.

 変異:この筋が全く欠けていることがある.ごくまれに,この筋が重なり合った2層よりなっている.補強筋束が股関節,小転子から,また腸骨筋,外閉鎖筋,長内転筋からくるのが見られている.

[図569] 右寛骨の外面における筋の起始と停止

2. [大腿]薄筋M. gracilis. (図562, 563, 569)

 この筋は起始部では平たくて,幅が広くて薄く,下方にゆくほどいっそう幅が狭くしかも切り口が円くなっている.恥骨枝の結合部の縁から起って大腿の内側面を下方に走り,縫工筋の終腱のうしろで脛骨粗面のそばに固着している.

 縫工筋,大腿薄筋,半腱様筋の腱はたがいに合しており,また大腿筋膜,下腿筋膜とも癒合している.それによって生ずる構造が鵞足Pes anserinus, Gänsefußと呼ばれる(図578).

 縫工筋の腱と大腿薄筋の腱とのあいだにはすでにのべた固有縫工筋包Bursa m. sartorii propriaがあり,驚足と脛骨とのあいだには鵞足包Bursa anserinaがある.これらの両粘液嚢はたがいに続いていることがある.

 神経支配:閉鎖神経による.

 脊髄節との関係:LII, III, IV.

S.464   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る