Band1.479   

 この腱は第2~第5指にゆくための4本に分れ,その分岐より下方では足底における筋頭として足底方形筋M. quadratus plantaeを受け入れている.そして長指屈筋の腱は末節骨底に固着するのである(図587).

 神経支配:脛骨神経による.

 脊髄節との関係:L. V, S.1, II.

 作用:指の末節骨を曲げ,足の底屈を補助し,足を固定しているときには下腿をうしろに引き,踵を間接的に上方に挙げる.

 変異:ときに1つの副起始頭が脛骨にはじまり,これは長指屈筋の腱と,あるいは足底方形筋と続いている.

6. 後脛骨筋M. tibialis posterior. (図579, 580, 589, 590)

 この筋は上部では幅が広く且つ複羽状を呈し,下部では単羽状を呈している.その腱は筋の下部で内側の稜線にある.この筋は下腿骨間膜ならびにこれと境を接する脛骨および腓骨の縁から起る.その腱は脛骨踝の上方で長指屈筋の腱の下を通ってこれと交叉し,まず脛骨踝のうしろで脛骨踝溝のなかにあり,次いで脛骨踝より下方では破裂靱帯と三角靱帯との間の上方の管のなかに達する.ここでは後脛骨筋腱鞘Vagina tendinis m. tibialis posteriorisに包まれている.それからこの腱は斜め下方に載距突起と舟状骨粗面との間を通って足底に達する.ここで2つの索に分れる.その内側のいっそう強い方の索は舟状骨粗面に付着し,外側のいっそう弱い方のものは第2と第3の楔状骨に固着している(図589, 590).

 この腱と[足の]舟状骨ならびに第1楔状骨の間にはしばしば後脛骨筋腱下包Bursa subtendinea m. tibialis posteriorisという粘液嚢がある.

 神経支配:脛骨神経による.

 脊髄節との関係:L. V, S, I(II).

 作用:この筋は足を足底の方に曲げ,足の内側縁を挙げる.また距骨頭が体重を支えるに当って踵舟靱帯のはたらきを補助している(図464).足を固定しているときには下腿をうしろに曲げ,間接的に踵を挙げる.

 変異:この筋が全く欠けていることがあり,また重複していることもある.その腱は,舟状骨に停止するところの近くに非常にしばしば種子軟骨を有っている(Le Double).その腱束は第2,第3,第4中足骨,立方骨,短母指屈筋に固着していることがある.

7. 長母指屈筋M. flexor haHucis longus. (図579, 587)

 これは下腿深層の筋群の中で最も厚い筋であり,腓骨体の下2/3でその後面および内側面,ならびに下腿骨間膜から起っている.その腱は距骨の長母指屈筋腱溝の中および載距突起の下方の同名溝の中を(図590)長母指屈筋腱鞘Vagina tendinis m. flexoris hallucis longi(図598)に包まれて前方にすすみ,母指の末節骨に停止している.この腱は載距突起より遠位で,長指屈筋の腱のうしろがわにあってこれと交叉し,そこで両者が重要な結合をしている.

 多くの例では母指の腱はこの交叉の場所で外側へ1本の腱束を出している.この腱束は2脚に分れて第2および第3指の腱に達する.まれに第4指にゆく1腱束がある.しばしばこの外側の腱束が第2指だけにゆく.従って母指の腱は長指屈筋の腱を強めていて,脛側屈筋M. flexor tibialisともいうべぎものであり,これに対して長指屈筋は腓側屈筋M. flexor fibularisということができる.しかしまた母指の腱がしばしば総指屈筋から腱束をあたえられている.

 神経支配:脛骨神経による.

 脊髄節との関係:L. V, S. I, II.

 作用:母指を曲げ,長指屈筋との腱の結合によりこれが筋束を送っている他の指をも曲げる.間接的に踵を挙げる.

 変異:長指屈筋の腱との結合がまれに欠如する.長指屈筋ゐ第2指にゆく腱が欠けているときにこの筋がしばしばその代りとしてかなり強い腱を第2指にあたえている.

S.479   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る