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 第5指にゆく腱はしばしば痕跡的なものに過ぎない.これらの腱は手の浅指屈筋の腱と同様に1つの裂け目をもち,これを長指屈筋の腱が通り抜けている.

 神経支配:内側足底神経による.

 脊髄節との関係:L. V, S. I.

 作用:この筋は第2~第5指の中節骨を曲げる.

 変異(日本人における短指屈筋の第4腱の欠如は,男209体側のうち75体側(35.9%).女83体側のうち21体側(25.3%)である(小金井良精,新井春次郎,敷波重次郎:東京医学会雑誌,17巻,127~131,1903).また深頭の出現率は50体100体側のうち38.5%, 浅頭に第5指腱を欠くもの21.0%, 浅頭,深頭ともに第5指腱を欠くもの7.0%(豊田春満;解剖学雑誌,12巻,1938).):この筋は完全に欠けていることがある.小指にゆく腱がしばしば欠如する.

2. 足底方形筋M. quadratus plantae. (図587, 589)

 この筋は短指屈筋に被われて,踵骨の内側面および下面に始まり,長い停止線をなして長指屈筋の腱に付着して終る.

 神経支配:腓側足底神経による.

 脊髄節との関係:S. I, II.

 作用:末節骨を足底に向って曲げる場合に長指屈筋を補助する.

 変異:足底方形筋の大部分が第3および第4指にゆくことがある.その起始が下腿にまで及んでいることがある.この筋と長母指屈筋とを合せたものが1つの 特別な足指の屈筋をなすとみなされ,このうちの足底にある遠位部がこの筋であると考えられる.

3. 虫様筋Mm. lumbricales, Fußspulnzuskeln. (図586, 587)

 虫様筋は4つあって,それぞれ長指屈筋の4つの腱に始まり,しかも第1(内側)のものは1頭をもって第2指にいたる腱の内側縁から起り,他の3つの虫様筋はいずれも2頭をもって始まるのである.これらの筋は基節骨の内側縁で第2~第5指の指背腱膜に移行している.

 足の虫様筋の停止は手におけるよりもいっそう不規則であり,これらはまれならず中足指節関節の関節包に固着しており,あるいは直接に基節骨に達している.

 虫様筋と横中足骨小頭靱帯とのあいだには[足の]虫様筋嚢Bursae mm. lumbricalium pedisがある.

 神経支配:内側の2つの虫様筋は内側足底神経により,外側の2つは腓側足底神経による.

 脊髄節との関係:第1,第2虫様筋はLV, S. I,第3,第4虫様筋はS. I, IIである.

 変異:個々のもの,あるいは全部が欠けていることがあり,また重複していることもある.

4. 骨間筋Mm. interossei. (図582, 586590)

 背側骨間筋4つと底側骨間筋3つとがある.骨間筋の作用する軸は2(最も長い)の長軸に一致している.

 三つの底側骨間筋Mm. interossei plantaresはそれぞれ1頭を有つ. これらの筋は第3,第4,第5中足骨の内側縁に始まり,そしてやはり内側縁で,一部は中足指節関節包および基節骨底に,一部は第3,第4,第5指・の指背腱膜に達している.

 四つの背側骨間筋Mm. interossei dorsalesはそれぞれ2頭を有って,第1~第5中足骨の向き合った面から起っている.第1背側骨間筋の腱は第2指の内側縁に達し,第2~第4背側骨間筋の腱は第2,第3および第4指の外側縁に達する.これらの筋は前者と同じく一部は基節骨の底に固着し,一部は指背腱膜に移行している.

[図588] 足の骨間筋の模型図 背側骨間筋は赤い線,底側骨間筋は黒い線で示す.

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最終更新日13/02/03

 

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