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 破裂靱帯の下を通る3つの深層の屈筋の腱(図598)はそれぞれ別々の腱鞘を有っている.まれに長母指屈筋の腱鞘と長指屈筋のそれとが結合している.これらの腱鞘は脛骨踝のうしろで破裂靱帯よりいくらか上方で始まる.そして後脛骨筋の腱鞘は舟状骨粗面にまで達しないが,他の2つの屈筋の腱鞘は足底の中でこれら両腱が交叉するところよりもわずかだけ遠位にまで延びている.

 長短の両腓骨筋Mm. fibulares(図597)は1つの共通な腱鞘を有ち,これは腓骨踝のうしろで始まり,支帯の下では各腱のためにそれぞれ1つの特別な管ができている.短腓骨筋の腱鞘は下腓骨筋支帯を越えて遠位の方にあまり遠くへは達しない.長腓骨筋の腱鞘は立方骨の長腓骨筋腱溝にまで達する.足底においてはその末端部が1つの特別な腱鞘を有っている.

[図596] 足背における腱鞘(Corning, topogr. Anatomieより)

5. 足背筋膜Fascia dorsalis pedis.

 足背筋膜は薄い膜で,これは十字靱帯から出て伸筋の腱の上に達する.その深葉は短い伸筋および背側骨間筋を被っている.

6. 足底腱膜Aponeurosis plantaris. (図583)

(工藤は日本人の足底腱膜を3型に分類し,50体側のうち,第1型33体側(66%),第II型9体側(18%). 第III型8体側(16%)であるとした(工藤得安:北越医学会会報,31巻,98~107,1916).)

 足底の腱膜はその中央の部分が力づよいStreckband(伸張帯の意)となっていて,足底の深部の軟部組織を保護している.これは踵骨隆起の脛側,腓側両結節から中足骨小頭まで延びている.その両側の部分は足底の3つの筋群に相当して,表面では溝により,深いところでは隔壁によってたがいに境されている.その内側部は薄く,外側部ははるかにかたく,特に踵骨の腓側結節と第5中足骨底とのあいだがかたい.その中央部は手掌腱膜におけるように,うしろほどいっそう幅が狭く且つ厚くなり,前にゆくほど幅が広く且つ薄くなり,終に5つの尖頭に分れてそれぞれ1つずつ各指に達する.多数の横走線維がこれらをたがいに連ねている.

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最終更新日13/02/03

 

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