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脈管および神経が筋膜を貫く場所

 卵円窩は大伏在静脈および陰部大腿神経の大腿枝が通りぬけるところである.膝窩では大腿筋膜を貫いて小伏在静脈が膝窩静脈に入る.腓側大腿皮神経は前腸骨棘より5cm下方で大腿筋膜を貫き,大腿神経の前皮枝はその前面のいろいろな場所でこの膜を貫いている.伏在神経は膝部の内側面で皮下に現われる.浅腓骨神経は下腿伸側の筋膜を下腿長の下1/3の初まりの高さで貫いている.後大腿皮神経は大腿の全長にわたってこの筋膜の下を通り,その枝を順次に筋膜の孔をへて皮膚に送り,腓腹神経は下腿の後面の中央の高さより下方でこの筋膜を貫いている.これよりもさらに上方,膝窩の下方で且つ膝窩より外側で腓側腓腹皮神経がこの筋膜を貫いており,内側踵骨枝は踵より上方で,脛骨踝のうしろで皮膚に達している.

 下肢の皮下の粘液嚢として,なお次のものを挙げておこう.

 腓骨踝皮下包Bursa subcutanea malleoli fibulaeは(しばしば)腓骨踝のところに,

 脛骨踝皮下包Bursa subcutanea malleoli tibiaeは(しばしば)脛骨踝のところに,

 踵骨皮下包Bursa subcutanea calcanearisは踵骨隆起の下に,

 中足指節間嚢Bursae intermetatarsophalangicaeは中足骨小頭のあいだにある.その内側の3つはほとんど常に存在し,第4のものはしばしば欠如する.

 今までに述べなかった粘液嚢としては次のものがある.

 喉頭隆起皮下包Bursa subcutanea prominentiae laryngicaeは甲状軟骨の喉頭隆起の前にある.

 仙骨皮下包Bursa subcutanea sacralisは皮膚と腰背筋膜とのあいだで仙骨と尾骨との境のところにある.

 尾骨嚢Bursa coccygicaは肛門尾骨中隔の停止するところで尾骨の下端に接して存在する.

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最終更新日13/02/03

 

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