Band1.515   

こうして内皮の管がなお残存し(図109,117)内皮細胞は薄い基礎膜の上にのっている.個々の内皮細胞は核をもち多少扁平で,細長くのびて,半ば溝の形をなしてまがり,細胞間橋と少量の接合質によってその縁でたがいに連なっている.この接合質は硝酸銀によって現出される(図88,89).また内皮細胞は細い糸状のものによって基礎膜に固着している.

 銀液で染め出した内皮細胞間の線は一様の太さであるが,そのところどころに不規則な型の角ばつた部分があって,銀の沈着により黒く染つている.これは一部の学者によって小口Stomata, Lückenとみなされているが,他の学者はこれを介在小板Schaltplättchen,つまりいくつかの細胞間のすきまをうずめている小さい板状物と考えている.またこれは細胞の縁がたがいに上下に重なってできたものだという意見もある.

 基礎膜Grundhäntchenは格子線維Gitterfasern(銀好性線維argyrophile Fasern)からなり,この線維は輪状に走りたがいに結びついて網状をなして無構造の間質中に存在する.内皮細胞は多数の細い糸をもって基礎膜と結びついている基礎膜の外面は多くの場所でいろいろちがった性質の結合組織性の被膜で被われている.その被いが完全なことも,不完全なこともあるが,これが毛細管の外膜Adventitia capillarisというべきものである.そこには特別な外膜細胞Pericyten(K. W. Zimmermann,1923)という細胞がある.その主な特徴は,たいてい楕円形の細胞体をもち,それからふつう2本の突起,つまり1次突起Primärfortsätzeが出る.この突起は毛細管の長軸に沿ってのび,そこで横の方向に多数の側枝を出して毛細管をとりまいている.これが2次突起Sekundärfortsäitzeである(図614, 615).これには中間形があって動脈や静脈の平滑筋に移行するものである.つまりこれが毛細管において平滑筋の代りをなしている.

[図614] カエルの硝子膜の毛細管(Eberthによる)

[図615] 43才男の心臓における非常に枝分れした外膜細胞をもった毛細管.×1350(K. W. Zimmermann, Z. Anat. Entw., 68. Bd.1923)

[図616] 毛細管の神経(Ph. Stöhr jr., Z. Zellforsch., 3. Bd.,1926による)

S.515   

]

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る