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心臓壁の層構造

心臓の壁は心外膜,心筋層,心内膜の3層からなる.

a)心外膜Epicardium

 これは心臓の最表層にあり,心膜の臓側葉にほかならない.

b)心筋層 Myocardium, Muskelschicht des Herzens (図628630)

 心筋層は心臓壁の中層であって,心臓の成分として最も強大でありかつ重要であって,心臓の筋肉性の基礎をなしている.

 

[図628] 若い個体の心臓を煮て筋肉を剖出したもの 前面(2/3)

 心房の前面がよく見られるように大動脈は半月弁のすぐ上で切断してある.表面にある筋層を示す.

 A 右心室;B 右心房;C 左心室;D左心房. a 心房横走線維;b 左心房輪走線維.1肺動脈;2大動脈;3上大静脈;4 右肺静脈;5 左肺静脈;6前室間溝;7 右心耳;8 左心耳.

[図629] 若い個体の心臓を煮て筋肉を剖出したもの 後面(2/3)

 A 右心室;B 右心房;C左心室;D左心房.1 上大静脈;2 下大静脈;3右肺静脈;4 左肺静脈;5 大心静脈;6 後心室間静脈;7 冠状静脈洞;8;後室間溝;9 左心耳.

 心房と心室の筋肉は1個所(ヒス束Hissches Bündel 532頁参照)を除いて,両者のあいだに入りこんでくる結合組織の集りである線維輪によって分離されている,線維輪は心臓を長いあいだ煮ると軟かになり心房と心室とは完全に離れる.線維輪からは心臓の筋肉の一部と房室弁が出ている.

α)心房の筋肉

 心房の筋肉は表面にある左右に共通な層と,深いところにあってそれぞれの心房に固有な層とからできており,この層の中では線維の走行が交叉している.

 左右に共通な表面の層は横走する線維の束からなり,この線維束は左右の心房の周囲を輪状にとりまいて走るがその前面で特によく発達している.そのうちわずかな線維束だけが心房中隔に入っている.

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最終更新日13/02/03

 

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