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左心室の外側縁は円みを帯びていて第3肋軟骨の胸骨縁より約3cm離れたところから左の第5肋間隙に向い,その途中で左の第4と第5肋軟骨の外側端の近くに達している.右心室の鋭い縁は殆んど横走する1線上で右の第7肋骨の胸骨付着部から剣状突起の底を通って左の第6肋軟骨の中央に達している.右心房の右縁は右の第7肋軟骨の胸骨付着部から外側に突出する弧を画いて上方に向い,右の第6,第5,第4肋軟骨の胸骨端を越えて,右の第3肋骨の胸骨付着部にいたる.この縁は胸骨の右縁から1ないし2横指離れて,胸骨毒線に達している.心尖は多くのばあい,左の第5肋軟骨の外側端から少し下内側によつたところにあり,Sappeyによると胸骨の正中線から8~10cm離れたところで,男ではふつう乳頭から2横指下方である.したがって右方に最も遠く達しているのは右心房であり,左方にいちばん遠く達しているのは左心室の下端である.

[図632] 心臓と大血管の位置を胸骨と肋骨の面に投影した図 (LuschkaおよびThomsonによる) (1/5) a 右鎖骨;b 前斜角筋;c 胸鎖乳突筋;d 大と小胸筋,切断;および腕神経叢;e 気管;f, f横隔膜の上面;g, g' 肺臓;g'頚部にある左胸膜頂の尖った上端部;h 肝臓の右葉, h'肝臓の左葉;i 胃;k, k横行結腸, I~X 左右それぞれ対をなす第1ないし第10肋骨;1大動脈弓;2 肺動脈;3 右心耳;3'右心房;3"右心房の下界で右心室への移行部;4 左心耳;5, 5右心室;6 左心室;6'心尖. 心臓の周囲をとりまく白線は心膜の境を示す;7, 7 上大静脈;8,8'内頚静脈,その内側に総頚動脈がある;9,9'腕頭静脈.

 心臓を胸骨と肋骨の面に投影した形は上に述べたごとく,また図632に示してあるように不正四辺形となっている,下方の1辺(右心室の自由縁に当る)はほとんど横に走って右の第7肋軟骨の胸骨付着部から心尖にいたる.右方の1辺(右心房の右縁に当る)は右の第7肋軟骨の胸骨付着部に始まり,右側に向かって突出する弧を画いて,その最も突出した所は胸骨傍線に達し,ついで右の第3肋骨の胸骨付着部の下縁に終る.左の1辺(左心室の自由縁[いわゆる心臓の鋭縁]と左心耳)は心尖から左の胸骨傍線と左の第3肋軟骨(上縁)との交叉点に向う.上方の1辺(最も短い)は左右の2辺の上端を結ぶ線である.

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最終更新日13/02/03

 

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