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毛細管はただちに比較的太い静脈性の血管に移行し,この血管は近くの静脈に口を開く.かくして弾性線維に富みリンパ性浸潤のある結合組織によってまとめられ,粒状の形をしたものができている.また神経線維がある.この血管糸球は第3鰓弓動脈の名ごりである(W. Krause) (図634).なお交感神経の項を参照されたい.

[図637] 頚動脈糸球60才の男子,クローム親性細胞を染め出してある.×500 (A. Kohn, Handbuch……Physiologie 1930)

[図638] クローム親性細胞 新生児の骨盤部交感神経節の横断.(A. Kohn, Handbuch……Physiologie 1930)

 頚動脈糸球は(A. Kohn, Handbuch…Physiologie 1930)特殊(sui generis)な器官で交感神経系に属するものである.これは典型的ないわゆるクローム親性細胞と神経細胞および神経線維からなる(図637).

 クローム親性細胞はごく若い交感神経細胞から由来するもので,球状をなして配列しクローム塩に強く染まる.多くの交感神経節とくに腹部および骨盤部の交感神経節に全く同じようなものがある(図638).腎上体の髄質もこれに属するものと考えられる.

外頚動脈Arteria carotis externa

 外頚動脈は主に顔面および頭蓋壁に分布する.年少のものでは内頚動脈より細いが,成人ではだいたい同じ太さである.外頚動脈は甲状軟骨の上縁で総頚動脈から分れ下顎頚の高さに達し,そこで2本の終枝である浅側頭動脈A. temporalis superficialisと顎動脈A. maxillarisとに分れる,上方に向うあいだにたくさんの枝を出すのでその直径は著しく細くなる.

 外頚動脈は9本の枝を出すが(起始の順序に従ってあげると)上甲状腺動脈A. thyreoidea cranialis,上行咽頭動脈A. pharyngica ascendens,舌動脈A. lingualis,顔面動脈A. facialis,胸鎖乳突筋動脈A. sternocleidomastoidea,後頭動脈A. occipitalis,後耳介動脈A. retroauricularis,顎動脈A. maxillaris,浅側頭動脈A. temporalis superficialisである.

 局所解剖:起始の近くでは外頚動脈は発生の過程にもとついて内頚動脈より内側にあるが,すぐにいっそう表面に近づき同時に外側に向かって,下顎後部にいたる.

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最終更新日13/02/03

 

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