Band1.562   

1. 椎骨動脈A. vertebralis

2. 内胸動脈A. thoracica interna

肋頚動脈Truncus costocervicalis

3. 深頚動脈A. cervicalis profunda

4. 最上肋間動脈A. intercostalis suprema

甲状頚動脈 Truncus thyreocervicalis

5. 下甲状線動脈A. thyreoidea caudalis

6. 上行頚動脈A. cericalis superficialis

7. 浅頚動脈A. cervicalis superficialis

8. 肩甲上動脈A. suprascapularis

9. 頚横動脈A. transversa colli

 変異:鎖骨下動脈の起始の変異については543頁を参照されたい.

 弓状をなしている部分が頚部で普通よりもやや上方に達していることがあるのでそのために鎖骨下動脈の走行がいろいろな違いを示す.通常この変異は右の鎖骨下動脈の弓状部にみられる.しかしなお他の変化もあって,この動脈がときとして前斜角筋を貫いていたり,静脈といっしょに前斜角筋の前にあったり,あるいは静脈が動脈とともに前斜角筋と中斜角筋のあいだを通りぬけたりする. 胸郭の上部の肋骨の数が増しているときには鎖骨下動脈はその過剰肋骨の上を越える.一枝が正常でない個所で幹から分れていることがあり,それでさまざまの変化がみられる.また若干の枝がときどき欠如しており,近くのものから分れた枝がその代りをなしているのである.

1. 椎骨動脈Arteria vertebralis (図644, 645, 648)

 この動脈は鎖骨下動脈の最初の枝であり,また最も太い枝として鎖骨下動脈が胸部で弓状をなしているところの凸側縁から出て,前斜角筋の後を上方にすすみ,ふつうは第6頚椎の肋横突孔,ときには第5頚椎のそれにはいる.それからほS"まっすぐに肋横突孔が上下にならんでできている管の中を第2頚椎まで上り,,この椎骨の肋横突孔の中で後外方にまがり(第1弯曲).そこから弓状をなして環椎の肋横突孔に達し(第2弯曲).環椎の外側塊の後面に向かって廻り,この骨の椎骨動脈溝の中にいたる(第3弯曲).最後に環椎の後弓から大後頭孔の側方縁に向かって前上方にすすむ(第4縫曲).そのさい後環椎後頭膜と硬膜を貫く.つまり以上の4つの弯曲はみな大後頭孔の近くにあるわけである.

 斜台の上で,脳の橋の下縁のところで左右の椎骨動脈が相合して1本となり正中にある不対の脳底動脈A. basialisとなる.この動脈は橋の上縁で後大脳動脈Aa. cerebrales posteriores(図644)という左右2本の終枝に分れる.

 椎骨動脈は頚部でわりあい細い枝を出すだけであるから,この動脈が導く血液の大部分はその頭部の枝をへて脳に達する.頚部では深頚筋にいたる枝のほかに次のものが出る.

a)脊髄枝Rr. spinales.これは椎間孔を通って脊柱管の中に入り脊髄とその被膜および椎骨を養っている.

b)硬膜枝R. meningicus.これは環椎と大後頭孔のあいだで出て,大後頭孔を通って頭蓋腔に入り,骨と脳硬膜のあいだにおいて後頭蓋窩で枝分れする.

 頭蓋腔に達してから左右の椎骨動脈は次の枝を出す.

c)後脊髄動脈A. spinalis dorsalis(図644).この動脈は起始ののち延髄の周りをめぐって後下方に向い,大後頭孔を通って頭蓋腔を去り脊柱管に達する.椎骨動脈や胸郭の動脈などの枝である脊髄枝Rami spinalesで補強されながら脊髄の後面をうねりつつ下方に走り,たびたび枝分れをしたのち馬尾で終る.

d)前脊髄動脈A. spinalis ventralis(図644).細い動脈で左右の椎骨動脈が相合して脳底動脈となる角の近くで出る.これは大後頭孔を通って下方に走り,ついで他側の同名動脈といっしょになって1本の共通の小幹となり,脊髄の前面で前正中裂の入口のところを下方にすすむ.

 S.562   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る