Band1.571   

 多くの場合,この動脈から外乳腺枝Rami mammarii externiという2, 3本の小さい枝が乳腺にゆく.

2. 胸肩峰動脈Arteria theracoacromialis (図639, 640, . 648)

 これは太い動脈で小胸筋の上縁で始まり,その枝がいろいろな方面に広がっている.この動脈は三角筋大胸筋三角Trigonum deltoideopectoraleの内部で3本の枝に分れる.

a)肩峰枝R. acromialisは1本あるいは2本以上の枝で,三角筋と烏口突起のあいだを肩峰に向かって走り筋を貫いてそこに達する.これは筋と肩関節を養うことにあずかり,そこで肩甲上動脈の枝およびそのほかいくつかの小枝と共に肩峰動脈網Rete acromialeを作っている.

b)三角筋枝R. deltoideus.三角筋枝は視側皮静脈と並んで三角筋のあいだのすきまに入り,この2つの筋に広がる.

c)胸筋枝Rr. pectorales.これは外側鋸筋と大胸筋に分布し,胸壁の他の動脈とつながっている.

3. 外側胸動脈Arteria thoracica lateralis (図647, 648)

 この動脈は小胸筋の後かまたはその外側で起り,小胸筋の下縁にだいたい平行して下内側に走る.

 外側胸動脈は大胸筋,外側鋸筋に分布し,乳腺に外乳腺枝Rr. mammarii externiを送り,胸壁にあるほかの動脈とつながる.また枝を腋窩のリンパ節と脂肪組織に出している.

4. 肩甲下動脈A. subscapularis (図646, 648651)

 肩甲下筋だけにいたる2ないし3本の小さい肩甲下動脈があり,その他に1本の太い肩甲下動脈がある.後者は肩甲下筋の外側縁で始まり,この縁に沿って下後方にすすみ肩甲骨の下角にいたる.何本かの小枝を肩甲下筋と腋窩リンパ節に送り胸部と肩甲骨に分布する.そのはなはだ大きい枝が2本ある.すなわち

a)胸背動脈A. thoracodorsalis.これは肩甲下動脈の下がわの終枝であって,肩甲下筋・外側鋸筋.大円筋・広背筋のあいだを最下部の肋骨のところまで走り,上に列挙した諸筋に分布して広背筋で終わっている(図648, 649).

b)肩甲回旋動脈A. circumflexa scapulaeは肩甲下動脈の終枝で横走するものであり,後方に向かって内側筋間隙にいたり(図646, 648, 651).肩甲骨の外側縁にすぐ接してまわり,棘下窩の中を小円筋の下で骨面に沿って上方にすすむ.この動脈はそこで肩甲上動脈の枝および頚横動脈の枝につながる.その走行のあいだに肩甲下筋大円筋,小円筋,広背筋,棘下筋に枝をあたえている.

5. 掌側上腕回旋動脈Arteria circumflexa humeri volaris(図649)

 掌側と背側の両上腕回旋動脈は腋窩動脈の遠位部から出る枝で,たいてい広背筋の腱の内側で始まる.

 この2つの上腕回旋動脈のうち掌側のものは背側のものよりはるかに細くて,腋窩動脈の外側壁から背側上腕回旋動脈と同じ高さか,あるいは少し遠位で始まっている.そして烏口腕筋の下,上腕二頭筋の短頭の下で上腕に達し,その上を走って結節間溝に達する.そこで2本の枝に分れるが,そのうちの1本は上腕二頭筋の長頭の腱とともに走って,肩関節の中にはいり上腕骨頭にいたる.もう1本の枝は後方に走り背側上腕回旋動脈と吻合する.

 S.571   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る