Band1.644   

3. 直静脈洞Sinus rectus(図685, 4, 686)

 これは大脳鎌と小脳天幕の結合する縁を後方に内後頭隆起に向かって走っている.その横断面は上方が鋭い角の三角形をなす. 初まりのところでは下矢状静脈洞と大大脳静脈V. cerebralis magnaとを受けており,さらに後方では小脳の上部の静脈を受けている.それゆえ後方で少しく広がっている.

4. 横静脈洞Sinus transversus(図685, 6, 686)

 横静脈洞は頭蓋腔の静脈血の大部分を受けとるので非常に広いものである.内後頭隆起のところで始まり,小脳天幕の後縁に沿って側頭骨錐体の後稜に向かってすすみ,S状静脈洞Sinus sigmoides(図685, 6')となって側頭骨乳突部のS状洞溝のなかをこれに沿って下方にすすんで頚静脈孔に達し内頚静脈上球に開口している.右側の横静脈洞はたいてい左側のよりも広くて,また外耳道の後壁にいっそう近よっている.横静脈洞は横断面が三角形で,S状静脈洞はそれが半円形である.

[図685] 頭蓋腔の静脈洞の模型図 内方から見た側面図. 頭蓋腔をほぼ正中面で矢状方向に切断し脳硬膜はその突起と共に右半分に残してある.a 前頭骨;b 頭頂骨;c 後頭骨;d 蝶形骨;e 篩骨;f 鼻骨. A 前頭蓋窩;B 中頭蓋窩;C 後頭蓋窩;D 小脳天幕;E 大脳鎌;1,1,1上矢状静脈洞;2 下矢状静脈洞;3 内大脳静脈;4 直静脈洞;5 静脈洞交会;6横静脈洞;6'S状静脈洞;7後頭静脈洞;8上錐体静脈洞;9 下錐体静脈洞.

 内後頭隆起のところでは上矢状静脈洞・直静脈洞・横静脈洞が集まっている.たいていの場合ここで後頭静脈洞もこれらと合する.ここは大脳鎌と小脳天幕が後方でいっしょになるところに相当していて,静脈洞交会Confluens sinuumとよばれる(図685, 5).

 静脈洞交会がここにあげたすべての静脈洞に共同の受容個所となっていることはまれである(50例中4例),それよりやや多く見られるのは上矢状診脈洞と左右の横静脈洞との合流である.静脈洞交会と言うに値するものはわずか20%に見られるだけである.

 しばしば(30%において)上矢状静脈洞が右と左のそれぞれ1枝に分れて横静脈洞をなしている.直静脈洞は左の横静脈洞に入るか,または左と右の横静脈洞をたがいにつないでいる1本の横走枝に開口していることがいっそう多い.また1つの静脈叢がこの横走枝の代りをしていることもある.

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最終更新日13/02/03

 

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