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 多くの動物ではいろいろな場所にリンパ管とつづいた自動性器官motorische Organeがあって,その律動的な収縮によってリンパの求心性の流れが促されている.これがいわゆるリンパ心臓Lymphherzenである.

2. 脈管腺Organa cytogenea, (Blut-)Gefäßdrüsenこれにはいくつかの種類があるが,いずれも本質的にはリンパ様結合組織からなっている点では変りがない.

 これに属するものとしては1. 体に広く分布している多数のリンパ小節Lymphonoduli, Lymphknötchen,これは個々に分れていることもあるし(孤立solitär),群をなしてかたまっている(集合aggregiert)どともある.前者を孤立リンパ小節Lymphohoduli solitariiという.集合形をなすものとしては舌,口蓋,耳管,咽頭の扁桃および腸の集合リンパ小節Lymphonoduli aggregatiがある.さらに脈管腺に属するものとして2. 胸腺Thymusdrüseおよび3. 多数のマルピギー小体Malpighische Köperchenをもった脾臓がある.これに4. たくさんに存在するリンパ節Lymphonodi, Lymphknoten od. Lymphdrüsenおよび5. いわゆる血リンパ節Haemolymphonodi, Blutlormphdrüsenが加わり,6. また骨髄Medulla ossium, Knochenmarkもこれに属する.

 ここに述べた諸器官の一部は実地医学の立場から内臓学として取り扱われている.扁桃Mandeln,腸の集合リンパ節Lymphknötchenhaufen,胸腺Thymus,脾臓などがそれであるが,ここではそれらの系統的位置を明かにしておく.

 リンパ管を乳ビ管Chylusgefäßeとせまい意味のリンパ管Lormphgefdßeとに区別するのは,その内容によることである.狭義のリンパ管の内部にはリンパLympheがあり,乳ビ管には乳ビ Chylusがはいっている.消化のとき以外は乳鷹管にもリンパが通っている.そのほかの点ではこの2つの脈管は同じである.乳ビ管はのリンパ管である.しかし腸には乳ビ管のほかにこれと並んで普通のリンパ管も存在している.

 上に述べたすべてのDrüsenのうちでリンパ節がリンパ管に対してもっとも密接な関係をもっている.大部分の(おそらくはすべての)リンパ管はその途中で1個ないしそれ以上のリンパ節を必ず通過する.

リンパ腔の発生

 胎児の初期に体の内部は対称的に配列したいくつかの広い空所によって貫かれている.これらの空所のすべてが胎児の発生過程において重要な役割を演ずるものであり,またその空所を取り図む細胞集団から分泌された漿液様の液体をもってみたされている.

[図701] 主なリンパ管の走行についての模型的概観(Quainによる) 1/4

 a右腕頭静脈;b 左腕頭静脈;1,1胸管;1'乳ビ槽;2, 2頚リンパ本幹と頚リンパ叢;3, 3'腋窩リンパ叢;4, 4', 4''縦隔前部のリンパ管と乳腺リンパ叢;5, 5'胸腺リンパ管;6, 6'後縦隔リンパ管;7肺からのリンパ管;8食道のリンパ管;9後横隔膜リンパ管;10,10肋間リンパ管;10’胸管の側副幹,少数の肋間リンパ管が開口している;11,11’前および外側横隔膜リンパ管;12,12’腰リンパ叢;13,13’腎リンパ管;14,14’精巣リンパ管;15腹腔リンパ叢;16,16'内腸骨リンパ叢.

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最終更新日10/08/28

 

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