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リンパ管の神経

 リンパ管の神経はK. A. Kytmanoffの研究によるとたくさんあって大部分は無髄である.

 これには4つの神経叢が区別される.すなわち外膜・筋層上・筋層内・内皮下の神経叢である.外膜と中膜には知覚神経終末があるが,その形はあるところでは自由終末糸freie Endfädenの型であり,またところによっては終末叢Endbüschel, -sträiucher, --bäumchenの型である.中膜にはなお運動性神経終末も存在する.すなわち神経支配は 血管の神経支配,特に動脈のそれに似ている(Anat. Anz.,19. Bd.,1901).

脈管腺Organa cytogenea, Gefäßdrüsen(Blutgefäßdrüsen)

 脈管腺は本質的にはリンパ様組織からなりたっている.これはリンパ管系あるいは血管系のなかに介在していて,白血球をつくっている.

 これはいろいろなところに種々な形をして存在し,個々の点についてはかなりの相異があるけれども全体としてその構造と機能によってまとめて,いくつかの種類に分けることができる.

 これを次のように分類する.

1. リンパ小節Lymphonoduli, Lymphknötchenまたはリンパ瀘胞Lymphfollikel

a)孤立リンパ小節Lymphonoduli solitarii, Solitärfollikel(腸や気管支にある).

b)集合リンパ小節Lymphonoduli aggregati, 扁桃Tonsillen(舌,口蓋,咽頭,耳管の扁桃,腸の集合リンパ小節).

2. リンパ節Lymphonodi, Lymphknotenまたはリンパ腺Lymphdrüsen.

3. 胸腺Thymus, innere Brustdrüse.

4. 脾臓Lien, Milz.これには多数の脾リンパ小節と赤脾髄のリンパ様組織がある.

5. 血リンパ節Haemolymphonodi, Blutlymphdrüsen.

6. 骨髄Medulla ossium, Knochenmark(57頁参照).

1. リンパ小節Lymphonoduli, Lymphknötchen

 これはリンパ様組織の結合質が円味をおびた集団をなしているもので,その直径は0.5ないし1mm,気道と消化管において上皮のすぐ下にあり,1つ1つ離れて弧立リンパ小節Lymphonoduli solitarii, Solitärfollikelをなしていたり,集合リンパ小節Lymphnoduli aggregatiとして平面的に集まっていろいろな大きさの集団を作っていることもあり,特に消化管Nahrungsrohrのひろがり全体にわたって存在する.リンパ様の物質lymphoide Substanzという概念に相当してここでは結合組織性の細い網のなかにリンパ細胞が密集して存在する.この円味をおびた小さな器官は毛細血管網で貫かれている.またリンパ管もあって,これがおそらくはリンパ様の物質と開放性につながっている.リンパ小節は,リンパ様の結合質というものがすべてそうであるように,その分布するあらゆるところにおいて若いリンパ細胞の生産にあたっている.

[図707] ウサギの盲腸のリンパ小節(1個)の断面 (Flemmingによる)

 白い通路のごとく見えるものは主として血管網に当るが,その一部はまた細網の部分に相当する.

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最終更新日10/08/28

 

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