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 皮質では梁柱はいっそう膜状の形をとり,皿形の場所を更に小さい部分,すなわち0.28ないし0.75mmの大きさの小槽Alveoliに分けている.この小槽は内側に開き,また側方にも開口をもっている.髄質になると梁柱は細い帯ないしは索状の形となり,たがいにつながって網材を作る.これを髄網材Markgeritstという.これによって囲まれた隙間はどちらの方向にもたがいに自由につながっている.

[図710] ヒトの小腸間膜のリンパ節の皮質の断面 ×50 1 被膜;2 太い梁柱;3小さい隔壁;4血管の小幹;5 皮質の正常な状態のリンパ小節;6, 6筆で細胞の一部をはらい除けたリンパ小節,なかに細網が見える.7, 7髄質の索;8,8リンパ洞.

 上に述べた小槽と網目のなかには実質組織,すなわちリンパ様質が一定の様式をもって収められている.小槽には皮質小節Rindenknötchen(図710, 5, 6)があり,これは小槽より小さく,またこの皮質小節と小槽壁のあいだに皿形をしたせまい隙間が残されている(図710,8).皮質小節はその内面からリンパ様組織の突起,すなわち髄索Fasciculi medullares, Marksträngeを送りだして,これがたがいに合して網を成している(図708).この網は髄質の網材のなかにあり,髄質の最も大切な部分である.このことは皮質小節が皮質の本質的な部分であるのと同じである.言いかえるとリンパ様組織は皮質では皮質小節の形をとり,髄質では髄索の形をなしていて,この髄索は皮質小節からつづいて出てたがいに網を作っているのである.皮質小節および被膜と梁柱のあいだにはぐるりと取りまいて狭い隙間が存在し,そこをリンパの流れが通っている.それと同じように髄索の網と髄質の梁柱系との間にもあらゆる側にリンパが流れるための狭い隙間が開いていて,これがいたるところで皮質の同じような隙間とつながり,そして全体としてリンパ節のリンパ路ができている(図708).このリンパ路には一方では輸入管が注ぎ,他方では輸出管が開いている.また血管が髄索と皮質小節のなかで分枝している.皮質小節を外方および側方から皿状にとりまいている隙間を特にリンパ隙Lymphspalteまたリンパ洞Lymphsinusと呼ぶ.しかしリンパ路の全体がまったく何もその中にない自由な通路ではなくて,いたるところで細い網状物がその内部を貫いており,この細網は一方では皮質小節と髄索の密なリンパ様組織に進入して,その網材に続き,また他方では被膜と梁柱系の全部に固く着いている.

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最終更新日10/08/28

 

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