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 じっさい輸出管には輸入管よりはるかにリンパ細胞の多いことが以前からすでに知られている.

 神経:動脈と共に細い有髄および無髄の線維がリンパ節のなかに達している.それから細小の線維が固有のリンパ性組織にすすんでいる.

3. 胸腺Thymus, innere Brustdrüse(第2巻参照)
4. 脾臓Lien, Milz(第2巻参照)
5. 血リンパ節Haemolymphonodi, Blutlymphdrüsen

 Fr. Leydigが最初に記載したように,多くの哺乳動物には血リンパ節Blutlymphdrüsenというものが存在している.これは胸大動脈の走行に沿ってみられ脾臓と同じように暗赤色を呈し,その割面をみてもこれとよく似ている.すなわち暗赤色の髄のなかに白色をおびた細胞集団があり,これは脾臓のマルピギー小体Malpighische Körperchenに相当する.

 血リンパ節は輸入リンパ管も輸出リンパ管も持つていないことが特にリンパ節と異なるところである(Weidenreich, Baum. Schumacher).被膜の下にある非常に広い周辺洞Randsinus(図712)にはリンパ細胞と白血球のほかに,多数の赤血球が存在する.この赤血球は密に集まって周辺洞をみたしている.血リンパ節のリンパ様組織は内方にあって門の方に向かってかたまっており,しかも血液のはいっている広い空所で貫かれている.この空所は周辺洞につづいて,これと同じ内容をもつのである.周辺洞に向かって胚中心をもった血リンパ節のリンパ様組織の部分がこぶの様に突出している.

 血リンパ節の意義は血球の破壊にあって,血球は食細胞Phagocytenにとらえられ変化させられるのである (Lewis).

 Schumacher(Arch. mikr. Anat.,81. Bd.,1912)によると血リンパ節はその他のリンパ節と厳密な区別が森いのであって,普通のリンパ節の退化型とみてよいとのことである.

 すなわち輸出管も輸入管も持たない,それゆえ上に述べた血リンパ節の定義に合いそうであるが,その洞のなかに血球をもたないリンパ節がある.また本当のリンパ節(すなわち輸入管も輸出管ももっている)でその洞のなかに血球をもっていることがある.

6. 骨髄Medulla ossium, Knochenmark(57頁参照)

リンパと乳ビのこと,およびリンパ管系の役目について

 リンパはうすくて透明であり,無色で白いか,あるいはわずかに黄色をおびていて粘り気のある液体であり,比重は1017である.これは胸管と右リンパ本幹を通って大量に血液にはいる.イヌでは1日に胸管を通過するリンパの量が体重の20~25%であるのに全血量はわずか6~7%である(LudwigとW. Krause).

 有形成分としてリンパは次のものをもっている.すなわちリンパ球(白血球),およびごくわずかの赤芽細胞,そのほか非常に小さい脂肪粒である.この脂肪粒は特に腸のリンパ(乳ビ)管のなかにあってそこから胸管に達する.脂肪食をとったときにはこれが非常に増加し,そのために乳鷹と乳鷹管および胸管が白色をていするようになる.このことによって初めて胸管が発見されたのであって,生きている動物において乳ビを含んだリンパの流れが鎖骨下静脈に入ることが見いだされた(J. Pecquet,1674, イヌにおいて).そのほかのリンパ管では脂肪粒がごく少ない.リンパ節より末梢にあるリンパ管の部分では,そこを流れている混り物のないリンパの中にはリンパ球も非常に少ないか,あるいは全く存在しない.ここにリンパ球がみられる場合は,それは毛細血管の壁からリンパ路にでていった白」血球,あるいはそのほかの遊走細胞なのである.

 リンパ漿Lymphplasmaは血漿と同じように凝固現象をていするが,その起り方はいっそう遅い.

 線維索を除いたリンパ漿をリンパ清Lymphserumという.リンパ漿は血漿とだいたい同じ化学成分を持つている.これは何も不思議なことではなく,リンパ漿は毛細血管から周囲の組織に,あるいは直接にリンパ路にはいっていった余分の血漿であって,組織がそれから一部の成分を取り去り,何らかの分解産物を加えたものなのである.

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最終更新日10/08/28

 

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