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2. 深層のリンパ管. これは筋膜下陰茎背静脈とともに恥骨弓の下にはいり骨盤の血管のそばにあるリンパ節に達する.

c)陰嚢のリンパ管 (図717, 718)は外陰部動脈のそばを通って浅鼡径リンパ節にいたる.

d)女の外陰部のリンパ管(図720)は陰唇において豊富な網を作り,そこから小幹が浅鼡径リンパ節にすすんでいる.

3. 腹腔と骨盤腔のリンパ管およびリンパ節(図717)

 この部分は複雑な状態である.ここにはまず1つの大きなリンパ嚢,すなわち腹膜嚢とそれによって囲まれたリンパ腔がある.またこの領域で下肢のリンパ管がたがいに合している.

[図720] 小陰唇,大陰唇,陰核のリンパ管 これらは浅鼡径リンパ節に注いでいる.(C. Bruhns, Arch. Anat. phys.,1898)

 さらにそこでは骨盤の諸器官に属するリンパ管が2本の主な束をなして集まり,一方では腸の乳ビ管とリンパ管は1本の中央の束を作る.側方の束は骨盤壁と腹壁の深層からのリンパ管といっしょになる.胃と脾臓のリンパ管は中央の束に向かって集まってくる.肝臓のリンパ管は腹腔と胸腔のリンパ管の中間のものとなっている.

a)外腸骨リンパ叢(図717).鼡径リンパ節からの輸出管とそれにつづく4~10個の腸骨リンパ節Lymphonodi iliciよりなっている.鼡径リンパ節からの輸出管は外腸骨動静脈に伴なって腹腔内にはいり,そこで腹壁と骨盤壁の深層から来る少数のリンパ管と合する.このリンパ叢は外腸骨動静脈の両側にある.そしてここのリンパ節よりでる輸出管は下部の腰リンパ節に達する.

c)直腸のリンパ管は数層からなるが,そのうち漿膜下層と粘膜下層のものが特によく発達している.この一部は腸管壁を離れるとじきに腸壁のすぐそばにある小さい肛門直腸リンパ節Lymphonodi anorectalesにはいる.ついで仙骨に接して存在する仙骨リンパ節Lymphonodi sacralesとつながるが,この仙骨リンパ節はかなり数が多くて,その一部は直腸間膜Mesorectumの両葉のあいだにある.肛門では浅層のリンパ管とつながりがある.

 Gerotaによると肛門の皮膚の部分からのリンパ管は鼡径リンパ節におもむく.それに対して肛門の粘膜にはリンパの道が2種あって,その1つは常在し,他は不定のものである.

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最終更新日10/08/28

 

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