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したがって内外両葉のあいだに大きな硬膜上リンパ腔があり,そのなかに脊柱管の静脈叢や脂肪組織などがある(脊髄の項参照).

 中心管脳室原リンパ腔Urlrvmphräumeとみなすべきものであって,胎生のある時期から後は軟膜腔と直接につながっている(神経系参照).

 脳,脊髄およびそれらの被膜からリンパの流出する路は頭蓋と脊柱にあるすべての穴を通っている.なおまた顕微鏡で初めて見ることのできるような細い血管の通る管もこれに関係している.このさい頭蓋の大きな穴としてはまず頚動脈管,頚静脈孔,および椎骨動脈の通路があげられる.

 解剖学的にはそのほか嗅粘膜のリンパ路,聴覚器の外リンパ腔,眼球の脈絡外腔,末梢性の神経とそれぞれ結合がある.

[図726] 頭部の下部と頚部の主なリンパ管とリンパ節(Quainから引用, Bourgeryによるが一部改変).

 右鎖骨の内側半ならびに胸骨の一部を取り除いて胸腔上部の太い脈管を露出してある.同じく頚部右側の筋と後浅頚静脈はよく概観を示すために一部取り除いてある.a 右腕頭静脈と右リンパ本幹;a'左腕頭静脈;b 大動脈弓;c 総頚動脈;d 甲状腺,その上を頚正中静脈V. mediana colliが通っている;e 胸骨の 断面;f 鎖骨;1 顎下リンパ節;1'舌下リンパ管;2, 2 浅顔面リンパ管;3後頭リンパ節;4上深頚リンパ節;5下深頚リンパ節;6 腋窩リンパ叢から出てゆく枝;7 縦隔リンパ管;8 心臓リンパ管.

2. 頭部外面のリンパ管

a)後頭部のリンパ管は皮下結合組織のなかを頭頂から乳様突起に向かって走り,だいたい後頭動脈の枝に沿っていて,界上項線のところにある小さい後頭リンパ節Lymphonodi occipitalesと,乳突部で耳のうしろの胸鎖乳突筋の付着部の上にある少数の耳介後リンパ節Lymphonodi retroauricularesを通過する.このリンパ管は項部の浅層のリンパ管とつながって頚リンパ節に達する(図726).

b)側頭部のリンパ管は下顎後静脈とともに耳介の前を下方にすすみ,その一部は耳下腺の表て,およびこの腺の内部にある耳下腺リンパ節Lymphonodi parotidiciにはいり,ついで下顎部と項部にはいって行く(図725).

c)顔面浅層のリンパ管は極めて多数あって,前額・鼻・上下の眼瞼・頬・上下の口唇・オトガイからきていて,斜めに走る顔面静脈にだいたい伴なっている(図725, 727).

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最終更新日10/08/28

 

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