Rauber Kopsch Band2. 007   

3. 漿膜Tunica serosa, seröse Haut および外膜Tunica externa, Außenhaut

a)漿膜Serosa

 漿膜の表面は上皮で被われている.その下敷きをなして線維性結合組織があって,ここでは線維束が平面的にひろがり,たがいに交わっている.それに弾性線維が加わっている.上皮と線維性結合組織のあいだには薄くてガラスのように明るい基礎膜がある.上皮は薄くて扁平であり,内皮細胞(第1巻の 図53参照)と外観的によく似た細胞からできている.それが1層をなしてならび,隣りあう細胞のかどの間に小さいすきま(小口Stomata)がそこそこに認められる.漿膜下組織Tela subserosaの発達は場斯によりまちまちで,これが漿膜とその下敷きをなす部分とを結びつけているが,その間を動かすことのできる程度が場所により違っている.また所によると漿膜に豊富な筋線維がある.血管は少ないが,毛細管の網が上皮層に接するところまで達している.リンパ管は漿膜下組織にそのかなり太い幹がみられ,リンパ管の密な網も存在する.神経線維は少ない.

 漿膜のうちで内臓を被っている部分は臓側板Lamina visceralis, viscerales Blattとよばれ,内臓を収めている腔所の内面を被っている部分は壁側板Lamina parietalis, Parietales Blattと名づけられる.

 漿膜で囲まれた腔所の内容をなしているのは少量のリンパ性の液体であって,通称を“seröse Flüssigkeit”(漿液)という.これは少数のリンパ球をもち,漿膜の表面を滑りやすくするのに役だっている.漿液が外に流れてでるのはリンパ管系のもつ小口Stomataを通じておこなわれるのであって,これは横隔膜の腹腔に向かった表面において特にはっきりとみとめられる.

 漿膜のつくるひだや高まりは漿膜ヒダPlica serosaとよばれる.その一部のものは特別な名前をもっている(網Gekröse, Netz).

b)外膜Tunica externa

 体腔のなかに突出していない内臓の諸部分は漿膜で被われないで,他の諸器官のあいだの結合組織のなかにある.外膜はそういう場所で内臓の表面を被っている.この膜はそれが包んでいる器官を近くのものに固着させる役目をもち,したがって血管の外膜と同じはたらきをしている.外膜をなす結合組織は時としては疎であり,時としてはかなり固い.そして多くのばあい多数の脂肪細胞をもっている.

 

B.内臓学各論spezielle Splanchnologie

広義の腸系統gastro-pulmonales System

 広義の腸系統は消化器系Verdauungssystemと呼吸器系Atmungssystemとに分けられる.

I. 消化器系Systema digestorium, Verdauungssystem

A. 消化器系の初まりの部

I. 口腔とその諸器官Cavum oris, Mundhöhleとその諸器官

1. 口唇と頬Labia oris et Buccae, Lippen und Backen(図811).

 消化管の入口は上下1対の口唇という内部に筋肉をもった皮膚のひだによって囲まれている.これを上唇Labium maxillare, Oberlippe,および下唇Labium mandibulare, Unterlippeといい,その間のすきまは口裂Rima oris, Mundspalteである.上下の両唇が各側でたがいに合するところを唇交連Commissura labiorumといい,口角Angulus oris, Mundwinkelを境している.

S.007   

最終更新日13/02/03

 

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