Rauber Kopsch Band2. 042   

唾液腺の微細構造(図6268, 71)

 概説:小さい唾液腺の腺体はただ1つの小葉からできているが,それより大きいものは2個以上あるいは数多くの小葉が集まってこれを成している.大きい唾液腺では腺体の集りが1次,2次およびさらに高次の小葉をつくっており,それらの間が結合組織で連ねられている.1次小葉の長さは1~1.5mm,幅は0.5~1mmであって,そのいずれもが1本の細い導管とつづいている.1次小葉が多数の終末部Endkammern, Endstücke, Hauptstückeからできている.漿液性の腺細胞の分泌物はまず細かい顆粒として終末部の細胞の内部に生ずる.ついでその分泌顆粒がだんだんと大きくなり(図63a~e),かくして細胞の全体を充たすようになる.終りにこの顆粒が腺腔に向かった細胞の表面からでてゆき,腺腔内でとけてしまうのである(図63f).導管の最初の部は狭くて峡部Isthmus,または介在部Schaltstück(頚部Halsstück)とよばれる.これがいっそう広くて小棒構造をもつ上皮Stabchenepithelで被われる管すなわち線条部Streifenstück(分泌管SPeichelrohr, Sekretrohr)に移行し,後者がさらになお太くて,上皮細胞にすじの構造がみえない導管となるのである.

[図63]ヒトの漿液性の舌腺の終末部1個を横断したもの.いろいろな機能の時期(a~g)を示し,×は収縮性の細胞である.(K. W. Zimmermann による.)

[図64]ヒトの耳下腺の終末部1個が切られている.細胞間分泌細管が横断および縦断されている(K. W. Zimmermannによる)

[図65]ヒトの耳下腺の終末部1個が切線方向に切られている.1個の収縮性の細胞ボその原線維を示していて,がつ切片の面の方向に広がっている.(K. W. Zimmermannによる)

[図66ヒトの顎下腺の粘液性の腺管とジアヌッチィ半月(K. W. Zimmermannによる)

a)耳下腺.胞状の終末部は円い核をもつ円柱状およぴ円錐形の腺細胞からできていて(図62, 64),腺細胞は繊細な基礎膜の上にのっている.終末部の内腔ははなはだ狭い.腺細胞は分泌物が充ちると大きくて明るくなり,分泌物がなくなると小さくて暗くなる.相となる細胞のあいだに細胞間分泌細管zwzschenzellige Sekretkapillarenがある(図64).腺細胞と基礎膜とのあいだに規則正しい星形の分枝した筋細胞があって,その突起は幅がせまくて長くのびて,終末部の大部分をとりかこんで,かつ原線維をもっている(図65).峡部Halsstückは細くて長く(0.275mmの長さに達する),長くひきのばされた扁平な細胞で被われている.線条部Streifenstückは円柱状の上皮をもち,その間に基底細胞がある.

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最終更新日13/02/03

 

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