Rauber Kopsch Band2. 078   

 胃の脈管.動脈は腹腔動脈の3つの枝からくる.静脈は脾静脈と上腸間膜静脈,一部は直接に門脈に入る.リンパ管もまたはなはだ豊富で,それが集まってできる小幹は血管に伴なってすすみ,小弯き大弯のところにあるリンパ節に入る.

 胃の神経.左右の迷走神経ならびに交感神経の枝がやってくる.それらによって前後の胃神経叢Plexus gastrici ventralis et dorsalisがつくられて,これに多数の小さい神経節が散らばっている.粘膜下神経叢および腸筋神経叢については腸の項を参照のこと(90頁).

 迷走神経と交感神経の線維および粘膜下神経叢と腸筋神経叢の神経細胞の突起はPh. Stöhr jr. のいう“神経性の終末細網”nervöses Terminalretikulumをつくっている(Z. Zellforsch., 21. Bd.,1934;27. Bd.,1937) これはひじょうに小さい網の目をもつ極めて繊細な網材である(図112).これが平滑筋線維・結合組織細胞・腺細胞・神経細胞をつつんでいて,これからでるごく細い原線維がその支配をうける細胞の細胞体のなかにまで入りこむのである.

胃の位置の固定

 胃の位置を固定するものとしては,まず横隔膜の食道孔のところで胃が食道とつづいていること,および第1腰椎のあたりで胃が十二指腸とつづいていることが重要であるが,それ以外で体壁や附近の諸器官に対して胃の位置を固定しているのは腹膜の諸部分である.それは後と前の胃間膜Mesogastrium dorsale, ventraleおよび胃膵ヒダPlica gastropancreaticaである(図99および腹膜の項を参照).

[図110]家兎の胃底腺の腺底における傍細胞の分泌細管 豊富な食餌をあたえて4時間後. (C. Golgi)

[図111]家兎の胃底腺の腺底における傍細胞の分泌細管 24時間食物をあたえないでみたもの.(C. Golgi)

[図112]神経性の終末細網 上下の胃の粘膜筋板より.銀染色. ×1000

 (Ph. Stöhr jr., Z. Zellforsch.,16. Bd.,1932)

S.078   

最終更新日13/02/03

 

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