Rauber Kopsch Band2. 083   

7. 内容のちがい(死体で空腸は多くのばあい空つぼである)

8. 卵黄腸管Ductus vitellointestinalisおよび卵黄嚢Nabelbläschenとの関係が異なる(回腸において回盲結腸口より0.5ないし1m上方に時として[多く見積つて全例の2%に]胎児の時代の卵黄腸管ないし卵黄嚢の残りがメッケル回腸憩室Diverticulum ilei verum[Meckeli]としてみいだされる)

9. 位置のちがい(空腸は中腹部の騰部と左外側部にあり,回腸は主として中腹部の右外側部と下腹部および小骨盤腔のなかにある)

10. 長さのちがい(空腸2/5:回腸3/5)

小腸壁の各層(図113134)

 小腸の壁は漿膜・筋層・粘膜下組織・粘膜より成る.

1. 漿膜Tunica serosa(図126).腹膜の項を参照のこと.

2. 筋層Tunica muscularis.外方の縦走線維層Stratum longitudinaleと内方の輪走線維層Stratum circulareとがある(図125, 126).前者は薄い層で,後者はかなり厚い.ともに平滑筋細胞でできている.

 両方の筋層は細匹・筋線維束によって所々でたがいにつながっている.この細い筋束はそれだけで独立に走っていることも,穿通する血管に伴なっていることもある.(Landau, Zeitschr. mikr.-anat. Forsch.,14. Bd.,1928. )一筋層の収縮によって腸の特有な虫様の運動すなわち蠕動Peristalüsche Bewegungがおこり,そのために内容が肛門の方へと運ぼれる.

3. 粘膜下組織Tela submucosa(図126).これはかなり厚い1層で,疎な性質であって,粘膜とはわりあい固く結合している.他の個所でも同じであるが,この粘膜下組織には粘膜にいたる比較的太い脈管や神経がふくまれている.

4. 粘膜Tunica mucosa(図125, 126).その自由面はけばだってビロード様の観を呈することが著しい.これははなはだ多数の小さい指状の高まり,すなわち腸絨毛Villi intestinales, Darinzottenがあるためである.粘膜下組織に対して粘膜は粘膜筋板Lamina muscularis mucosaeによって境されている.この粘膜筋板はBaecker(Z. mikr.-anat. Forch., 34. Bd. )によると内輪と外縦の2層からなるのである.

 さらに細かい構造を述べると,粘膜は円柱上皮と固有層と多数の腺とからできている.固有層は繊細な性質の疎性結合組織で,ここにリンパ球がいろいろな量でふくまれている.

 上皮は単層円柱のものであって,補充細胞をもっている(図119).上皮細胞の一部のものは杯細胞である.円柱細胞はその自由表面によく発達した小皮性の部分をもっている.これがいわゆる小棒縁Stäbchensaumであって,近年の研究によると,ここには微細な骨ぐみがあって,それを横に貫く細い管がたくさんある(小棒構造Stäbchenstruktur).この管を通って上皮細胞の細かい原形質突起が伸びてでたり,ふたたびひつこめられたりする.

[図118]腸壁のリンパ管(青く塗つてある) 小ウシの小腸を縦断したもの×27(Teichmannによる)

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最終更新日13/02/03

 

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