Rauber Kopsch Band2. 088   

 おそらく特殊な分泌物がこの細胞によってつくられるのではあろうが,その分泌物が何ものであるかはまだよく分かっていない.(Hintzsche, E, und Anderegg, P., Z. mikr. . anat. Forsch., 43. Bd.,1938)

 いま一種べつの顆粒性の細胞が基底顆粒細胞basalgekörnte Zellenである(図122).これはリーベルキュン腺の上皮のなかにあり,また腸の表面の上皮のなかにも存在する.その顆粒はひじょうに細かくて,主として細胞の基底部にあるが,時としてまた顆粒が核(多くは球形を呈する)の側方および上方にあることがあり,いっそうまれには細胞の全体をみたしていることがある.

5. 杯細胞Becherzellen(図119)単細胞腺であって,他の腸上皮細胞のあいだに所々にみられて,全体としてはなはだ広汎な分布を示し,絨毛の上皮にも数多く存在する.その分泌物は粘液である.

6. 孤立リンパ小節Lymphonoduli solitarii, solitäre Lormphknötchen(図116, 124, 129).これはすでに食道と胃でもみられたものであるが,小腸と大腸の全域にわたって散在している.黍粒ほどの大きさで,円みをおびて軽く高まつたもので,白くて軟い.そしてケルクリング襞の上にもある.しかし回腸では空腸よりもいっそう数多く認められる.1つの絨毛が孤立リンパ小節の上に立っているのもそこここにみられる.リーベルキュン腺が孤立リンパ小節のまわりをぐるりとかこんでいる.またこの小節が膨大してエンドウ豆の大きさに達していることがある.Hellmann(1921)によれば孤立リンパ小節の数は15000に及ぶのである.

[図129]回腸粘膜の垂直断 ×30 1,1孤立リンパ小節.2, 2腸腺.3, 3腸絨毛.

[図130]小腸粘膜の表面像×30

7. 集合リンパ小節Lymphonoduli aggregati,すなわちパイエル板Peyersche Drüsenhaufen(図131, 132).回腸に存在する長めの板状のもので,長さは2~10cm,幅は1~3cmあり,その長軸は腸のそれと一致し,小腸間膜の付着部に向いあって位置する.時として空腸の範囲にまで多少とも遠く入りこんでおり,すでに十二指腸でみられることさえある.多くのばあい20~30個のパイエル板がある.回腸の終りのところで最も数が多く,そして最も大きい.これは多数の孤立リンパ小節が集まって,平面的に配列しているものである.このリンパ小節群の上を被っている粘膜の表面に,絨毛は少しだけあるか,または全く欠けている.しかし粘膜がそこで軽いヘヒみをなしていることもしばしばであって,そのために小窩ができている.このリンパ小節のすぐまわりに接して乳ビ管の枝分れしたものが豊富な,そして内腔の広い通路をつくっている.それからでる細い突出部がリンパ小節じしんと密接なつながりを示しており.リンパ球のできる場所であるパイエル板で新しく生じたリンパ球が,この通路をへてリンパ管に入るのである.

 Stöhrによれば新しく生じたリソパ球の一部は上皮を貫いて腸内の腔所にでてゆく.HellmannとStenqvistはこの説に反対している(Anat. Anz., 78. Bd.,1934)

 小腸の血管.上腸間膜動脈の多数の枝が腸壁に達して,腸のまわりをとりまいてひろがり,無数の小枝に分れて,これらの小枝がたがいに豊富な結合をしている.

小枝の一部は漿膜じしんのなかでさらに枝分れして終る.

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最終更新日13/02/03

 

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