Rauber Kopsch Band2. 101   

 毛細胆管と肝細胞との関係は普通の腺細胞の配列とはややちがったものである.すなわち多数の肝細胞が1つの毛細胆管を境するのでなく,少数のものだけ,それも多くは2個の肝細胞が1つの毛細胆管をなしている(図151).また肝細胞の表面の1個所だけに毛細胆管があるのでなくて,1個の細胞の表面で多くの個所にこの細管がある.そのさい毛細麗管は肝細胞の面に沿って走り,その角と交叉して,ここで盛んにたがいに結合する.他の腺のばあいと同じく,肝細胞索においても血管と腺腔とはたがいに隔たっている.すなわち肝小葉の毛細血管は肝細胞の角に沿って走り,毛細胆管は肝細胞の面にその位置を占める(図150).それゆえ毛細胆管の網は毛細血管の網から空間的に離れているのである.

[図146, 147]ヒトの肝細胞をばらばらにしてとり出したもの ×500(Hoffmannによる)図146は健康な人の肝臓より得たもの.図147はチフス患者の再生しつつある肝臓より得た肥大した肝細胞.1はなはだ大きい単核の細胞;2 2核をもつ細胞;3 5核をもつ細胞.

[図148]網状に連なった肝細胞.肝小葉の辺縁部から得たもの×200.

[図149]毛細胆管 注入してある.×500 肝細胞のあいだに毛細胆管が分布し,かつ小葉胆管とつづくことがわかる.

[図150]2個の肝細胞(1と2)の範囲における毛細胆管と毛細血管の位置を示す模型図 2つの肝細胞の接触する線上に毛細胆管の横断がみえ,それに向かって分泌液胞の内容が細い分泌細管をへて達している.

 毛細胆管すなわち小葉内胆管は小葉のへりの所で小葉間胆管Ductus b111feri mterlobularesに移行する(図149).小葉間胆管はそれ自身の壁をもっていて,その壁は薄い無構造の基礎膜と低い上皮細胞とからなっている.それゆえ胆管のこの部分は唾液腺の峡部Schaltstückを思わせるのである.細い小葉間胆管が絶えず合することによって次第に太い口径の胆管ができてくる.その壁が小皮縁をもつ高い円柱状の上皮細胞と,基礎膜および線維性結合組織と弾性線維の網によってつくられている.ここにすでに杯細胞がみられる.いっそう太い胆管すなわち総肝管・胆嚢管・総胆管となると,そのほかに多数のかなり大きな腺である胆管粘液腺Glandulae mucosae biliosae, Gallengangdrüsenをもっている.これは多くは単一性のもので短い腺体をもつが,複合性のものもあり,粘液細胞からなっている.

S.101   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る