Rauber Kopsch Band2. 106   

すなわち消化のおこなわれていないときに頬粒の数が増す(6頁をみよ).消化作用がおこると顆粒がなくなりはじめる.しかし飢えているときでも明るい細胞体の部分が常にいくらかは残るのである.終末部の中心部に紡錘状をした上皮性の若干の細胞をみることが普通である.これは腺房中心細胞zentroacinäre Zellenとよばれて,導管とくに峡部の上皮細胞としての意味をもつのである.峡部は低い円柱状あるいはごく平べつたい細胞で被われている.主膵管およびその枝は蛍層の円柱上皮をもっている.その外方に接して結合組織の壁がある この壁が上皮の近くでは比較的固くて,それより外方ではいっそう疎な性質である.導管の壁の結合組織は主として縦走する線維束と弾性線維とからできている.主膵管およびその太い枝の壁に小さい粘液腺がみられる.

 膵臓の内部にある特異な構造物としてランゲルハンス島Langerhanssche lnselnが多数にあり,その全部を合せてInselorgan(島器官の意)という(図155).これは細胞索が球に近い形の集団をしているのであって,普通の腺の構造を示さないが,終末部や導管と(所によってまちまちなぐあいに)つながっている.島の内部にある毛細血管ははなはだ広がっていて,でこぼこの輪郭を示している.ランゲルハンス島の細胞に2種が区別される.その1つはB細胞B-Zellenで粗大な顆粒にみちており,他はA細胞A-Zellenでこれはごく細かい顆粒に富むのである.(この記載はま違っている.B細胞の顆粒は非常にこまかいが, A細胞のはむしろ粗大というべきである.なお 図158の染色でA細胞が均質にみえるのは,その顆粒が微細なためではない.(小川鼎三))前者は全細胞の80%を占めてインシュリンinsulinをだし,後者は20%を占めてグルカゴンGlukagonをつくるものであり,主として島の周辺部に存在する(Ferner, Mikroskopie, 6. Bd.,1951).分泌物はおそらく血管によって運びだされる.

 膵臓の神経は大部分が無髄である.有髄線維は少しみられるのみである.神経の分枝に伴って神経細胞が個々に,あるいは群をなして存在する.

 膵臓の分泌物である膵液Bauchspeichelは透明で粘り気のあるアルカリ性の液体であって,煮ると凝固する.

[図158]成人の膵臓のランゲルハンス島 B細胞は顆粒にはなはだ富み,A細胞(左方にある)は均質にみえる.(Ferner, Mikroskopie, 6. Bd.,1951より)

C.消化器系の終末領域

 消化管の終末領域とは大腸と直腸をいうのである.

I. 大腸Intestinum crassum, Dickdarm

 大腸は盲腸Intestinum caecum(これに虫垂Processus vermlformisが付属する)と結腸Intestinum colonとからなる.

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最終更新日13/02/03

 

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