Rauber Kopsch Band2. 109   

 大腸と小腸との間には外形について重要なちがいがある.小腸が表面の平らな円柱状の管をなすのに反して,大腸の表面では多数の外方へ向かったふくらみ,すなわち結腸膨起Haustra coli(図159112)がめだつのである.結腸膨起のあいだを境して大腸の内面に結腸半月ヒダPlicae semilunares coliという横走するひだがあり,このひだに相当して外面には溝がある.なお結腸膨起を境するものとしては,縦走筋層が厚くなってつくる3本のよく発達した平らな束であって,結腸ヒモTaeniae coliとよばれ,たがいに平行して縦走する3本の条をなしている(図159, 160). 

 Fujita(藤田恒太郎) (Anat. Rec.,114. Bd.,1954)は大腸の全長にそってその内外の両筋層からおこり,附近の結合組織のなかに放散する平滑筋線維の平たい束をみいだして,これをMm. parietocolici(体壁結腸筋)とよんでいる.

[図161]大腸 中等度に充ちている. レントゲン像(W. Knothe作)

1. 盲腸と虫垂Intestinum caecum (Typhlon), Blinddarm, et Processus vermiformis, Wurmfortsatz

 盲腸は6~8cmの長さと,(日本人の盲腸の長さ(平均)は男5.61cm,女4.83 cmである.久保武:日本人の消化管調査.東京医学会雑誌20巻269~305,1906.)それとほぼ同じだけの幅をもっていて,回腸が開口する所より下方にある大腸の一部である.ここは大腸が嚢状にふくれでた部分であり,また大腸のなかで最も広がっている個所である.

 盲腸の終りで,回腸の開口に多少とも近いところから虫垂(虫様突起)という細長い円柱状の突起(図159163)が外にでており,これは腸壁のすべての層をそなえている.

 虫垂の長さは2~20cmあるいはそれ以上のあいだであり,その太さは1/2~1cmである.そして多くのばあい軽くラセン状にまがって,右の腸骨窩から小骨盤の縁に向かってのびており,小骨盤のなかに達することさえある.

 この付属物はその端まで中空であって,この腔所は1つの小さい口をもって盲腸に開き,その口が時として小さい半月形の粘膜のひだである虫垂弁Valvula processus vermiformisで囲まれている(図163).虫垂の行きづまりの端が少し太くなっていることもまれでない.

S.109   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る