Rauber Kopsch Band2. 129   

後方の角からはたいてい1つの突起が後上方に伸びて正中板の下縁に伴ない,また鋤骨にもはまっていて,蝶形骨まで達していることがある.この突起を蝶形骨突起Processus sphenoideus という.

 鼻中隔は成人においては正確にまっすぐであるのはまれで,一方に曲がっていることがしばしばで,それも右に曲がっていることがいっそう多い.この曲りには軟骨部も骨部も関与し得る.弯曲は通常は7才以後にはじまる. また骨部が突出を示すこともまれでなく,鋤骨と籠骨との縫合の所からおこる骨稜による高まりがその例である.

 中隔鼻背軟骨の側方部は鼻背板Laminae dorsi nasiといい,3角形の板である.これはこの軟骨の前縁から出て後方に向い,その後縁が梨状口の上部に達し,その少し下に入りこんでいる.鼻背板の下縁は結合組織の束によって鼻尖軟骨とつながる.またその前縁は弓形をなして中隔板に移行している.下部だけはその間に裂目があって中隔板から離れている.

b)鼻尖軟骨Cartilago apicis nasi(図180, 181)はその名前から考えると,鼻尖にだけあるようにみえるが,そうでない.左右とも2本の脚からなっていて,両脚がたがいに円みをおびた角を作ってつながり合っている.これらの脚が外鼻孔の前部の大部分をとりまき,この孔の形を決定する.外側脚Crus lateraleは上顎骨から鼻尖にいたり,鼻尖で内側に曲り,いっそう小さいところの内側脚Crus medialeに移行している.内側脚は外鼻孔の内側の境界をなしている細い留金のような軟骨で,鼻中隔の皮部のなかに消えている.鼻中隔の軟骨部の一部を内側脚がなしている.外側脚の後部の上縁と下縁にはいつも切れこみがあり,ときには完全に切れてしまっている.このような場合にはこれを

c)副鼻軟骨Cartilagines nasales accessoriaeといい,3つあるのが普通で,鼻翼の後部に存在する.

 外側脚の下部のうち鼻翼に達している部分を外側脚翼突起Processus alaris cruris lateralisという.鼻尖軟骨の上縁から細長い軟骨片Längsspangenがたち切られていることがある.

d)鋤鼻軟骨Cartilago vomeronasalisは細くて薄い軟骨で,前鼻棘のすぐ後方で中隔板に接しており鋤鼻器に関係している(130, 132頁を参照のこと).

 なお最後に鼻底軟骨Cartilagines basalesについて述べる.これは小板状の軟骨でいろいろな形と大きさをしている.前鼻棘のところにあり,ここから中隔板の下縁に沿ってこれと鋤骨のあいだを後方に伸びている.

2. 鼻の筋

 筋学のところで記載した. 第1巻403頁.

3. 鼻の外皮

 鼻背の骨と軟骨の上を被う皮膚は薄くて容易に動かされ,皮下組織に脂肪をもたない.鼻翼の皮膚はそれより厚くて,その下にあるものと固く着いている.

 鼻の皮膚には汗腺と多数の大きな脂腺がみられる.脂腺はすでに新生児においてよく発達している.脂腺の太い導管の壁には小さい毛包があって,これが腺の付属物のようにみえる.皮下組織には脂肪細胞がわずかしか存在しない.

4. 外鼻の内面を被うもの

 鼻腔のところでいっしょに述べる.133頁参照.

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最終更新日13/02/03

 

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