Rauber Kopsch Band2. 132   

鼻甲介と鼻中隔のあいだの空所を総鼻道Meatus nasl communlsという.これら4つの鼻道および蝶篩陥凹は後方で鼻咽道Meatus nasopharyngicusにひらいている.

 蝶形骨体の前壁と下鼻甲介のあいだにはきわめてさまざまな深さをもった蝶節陥凹Recessus sphenoethmoideusがあり,そこに後方から蝶形骨洞Sinus sphenoideusが粘膜で包まれた多くのばあい小さい穴(蝶形骨洞口Apertura slnus sphenoidei)をもって開いている.上鼻道にはその天井のところに後飾骨洞がたいてい1つか2つの開口部をもって開いている(図182).

 中鼻甲介から1つのたかまりが前上方に出て,鼻背と平行に前下方にすすみ,次第に低くなって消失する.このたかまりを鼻堤Agger nasiという.鼻の天井と鼻堤とのあいだに篩板に向かって上行する溝があって,これを嗅溝Sulcus olfactoriusという.

 中鼻甲介を取り除くと,ツバメの巣のような形で上方に開いている節骨胞Bulla ethomoidea(図182)が認められる.その大きさは人によってきわめてさまざまである.またその壁に平行してやはり粘膜で包まれた鈎状突起の自由縁が走っている.篩骨胞と鈎状突起のあいだに半月裂孔Hiatus semllunarisがあり,ここは篩骨漏斗Infundibulum ethmoideum という短いロート状の管の上方の開口部となっている.また篩骨漏斗の下方の開口部は上顎洞裂孔Hiatus sinus maxillaris といい,上顎洞の開くところである.前頭洞は前上方から(半数例において)篩骨漏斗かあるいは半月裂孔に開いている.

残りの半数例では独立して中鼻甲介の付着する線の前部の下方に開口している.

 中鼻道にはそのほか前篩骨洞も開口し,またその後部には若干の例においてこれもやはり上顎洞に通ずる副上顎孔Foramen maxillare accessoriumがみられる.

 副上顎孔はや供や若い人には存在しない.もっと後になってからできてくる.

 下鼻道の前部には鼻涙管が下鼻甲介によって内側から被われる所で開口している(視覚器参照).

 鼻腔の外側壁で咽頭との境には上方にゆくにつれて強くなる後鼻孔弓Choanenbogen というひだがある(図182).

 耳管咽頭口Ostium pharyngicum tubaeは下鼻甲介を後方に延長したところにある.耳管咽頭口と中および下の両鼻甲介の後端とのあいだに下鼻道につづく鼻咽道Meatus nasopharynglcusという空所がある これは前後の方向には5~7mmしかないが,高さは25 mmである(図82, 182).

 外鼻孔から2cm奥の鼻腔底で鼻中隔に密接したところに切歯管の上端がある.切歯管は成人においては行きづまりになっていて口腔まで達しないのが普通である(図82).

 この開口部の後方に縦の隆起があり,小さな鋤鼻軟骨(Jacobsonscher Knorpel)をもっている.この隆起は全く鼻中隔に属している.その前端のすぐ上方に小さいが注目すべぎ管(ルイシュ管Ruyschscher Gang)が開口している.この管は軟骨に密接して後上方にすすみ,2~9cmの経過の後に盲状に終るかあるいは2本の枝に分かれてやはり行ぎづまりになっている.Sömmeringがこの管をすでに認めていた.これはいろいろなな哺乳動物においてよく発達しているヤコブソン器官または鋤鼻器(Jacobson)の遺残である.

b)副鼻腔Smus nasales, Nebenhöhlen der Nase

 副鼻腔は遅く発生し,盲嚢状で骨壁に囲まれており,鼻腔に付属していて,薄い粘膜で被われている.上に述べた副鼻腔の開口部はもともと副鼻腔ができるさいに粘膜が落ちこんだところである.副鼻腔には上顎洞Sinus maxillarls, Oberkieferhöhle,蝶形骨洞Sinus sphenoideus, Keilbeznhöhle,前頭洞Sinus frontahs, Stzrnhöhle,および多数の篩骨洞Sinus ethmoidei, Siebbeinzellenがある.

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最終更新日13/02/03

 

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