Rauber Kopsch Band2. 133   

鼻粘膜Tunlca mucosa nasi

 鼻前庭を被うものは外皮によく似た構造を示している.すなわち血管を有する乳頭と重層扁平上皮があり,また鼻毛とそれにともなう多数の脂腺がある.そのほか汗腺もあって,これが(Alverdes1932によると)毛包に開口しており,アポクリン腺に属するものである.扁平上度は下鼻甲介の前端と下鼻道の前部にも伸びている.呼吸部の粘膜は乳頭をもたず,多列円柱線毛上皮で被われている.血液を含まない状態でも粘膜の厚さが4mmに達していることがある.結合組織の部分はリンパ性組織の性質を帯びて孤立リンパ小節を有している 常に遊走細胞が上皮をへて鼻腔に遊出しているのがみられる.上皮との境で粘膜は密になって丈夫で一様な基礎膜をなしている.この膜は嗅部との境のところで薄くなって終る.静脈は特によく発達し,下鼻甲介では[]介海綿叢Plexus cavernosi concharumという著しい網をつくり,そのためにここは海綿組織に似た構造を示している.さらに粘膜は上皮性の腺にはなはだ富んでいる.上皮性の腺としてはまず杯細胞をあげなくてはならない.また鼻腺Glandulae nasalesは分枝管状胞状腺であって,その数はきわめて多い.Stöhrによるとこの腺は粘液と漿液とを分泌するというが,それに対してSchiefferdeckerとMazlarskiは粘液しか分泌しないといっている.導管の初まりのところは線毛上皮で被われている.下鼻甲介には1qcmあたり100~150個の鼻腺があることが珍しくない(Sappey).これらすべての腺は鼻粘液を分泌し鼻粘膜をうるおしている.-嗅部の構造については感覚器の項を参照されたい.

 副鼻腔の粘膜はごく薄い.その結合組織の部分は骨膜と合して約0.02mmの厚さの1層を作っている.上皮も丈が低くて,たいていのところでは扁平な線毛上皮である.腺はないわけではないが,数が主鼻腔にくらべてはるかに少なく,またいっそう簡単な形をしている.

鼻の血管とリンパ管

 鼻腔はひじょうに豊富な血管の供給を受けている.鼻腔の外側壁の前方は前篩骨動脈の枝を,それより後方では後節骨動脈の枝を受ける.また中鼻甲介と上鼻甲介とは後方から並な動脈として外側後鼻動脈を受けるのである.

 内側壁すなわち鼻中隔は上方からはやはり前篩骨動脈と後篩骨動脈を,後方からは中隔後鼻動脈を受けている.中隔後鼻動脈は切歯管をへて大口蓋動脈と吻合する.さらに上唇動脈の校が鼻前庭に達している.動脈の小幹は粘膜下のかなり深いところを走り,上皮のすぐ下まで毛細管の網を送りこんでいる.静脈は豊富であるが特に下鼻甲介のところと鼻腔の後部に多くて,そのため粘膜下組織が海綿組織に似ており,鼻甲介海綿叢Plexus cavernosi concharumとよばれる.

 嗅粘膜のリンパ路は硬膜下腔(Schwalbe)またはクモ膜下腔(KeyとRetzius) から注入することによって色素で充たすことができる.そのさい一部は神経のまわりの神経周囲路を満たし,一部は粘膜内に独立しているリアパ管網を満たす.豊富な液腔がこのリンパ管網とつながっている.

 鼻に分布する神経の一部は特別な感覚神経の嗅糸Fila olfactoriaであるが,一部は終神経(?)と三叉神経に属する知覚神経もあり,また翼口蓋神経節から来る交感神経もある.

B.下気道untere Luftwege

喉頭・気管・肺が下気道を構成している.喉頭はそれとともに音声をつくることにあずかる.

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最終更新日13/02/03

 

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