Rauber Kopsch Band2. 137   

 外面には斜線Linea obliquaという斜めに走る高まりがしばしばある.これは後上方で外面の上縁にある3角形の上甲状結節Tuberculum thyreoideum cranialeから始まり,前方かつ下方に走って下甲状結節Tuberculum thyreoideum caudaleに終わっている.

 左右の板の内面はなめらかで少しへこんでいる.--上甲状結節の近くにはときおり甲状軟骨孔Foramen thyreoideumという穴がみられ,上喉頭動脈がここを貫いて通っている.この動脈は普通は上喉頭神経とともに舌骨甲状膜を貫くのである.--斜線には胸骨甲状筋が付着し,また甲状舌骨筋の起始をなしている.斜線より後方の面からは喉頭咽頭筋の甲状咽頭部が起こっている.

2. 輪状軟骨Cartllago cricoides(図185187)

 輪状軟骨は完全に閉じた丈夫な輪を作っている.その上に甲状軟骨と披裂軟骨とがのっており,下方は気管に連結するのである.前方から後方に向かって著しく高さを増し,後方では2~2.5cmであるが,前方では0.6~0.7cmにすぎない.その高さに従って上縁は斜め上方に走るが,下縁はほとんどまっすぐに横走して,ただ後端の近くで左右とも下方への弱い突出をもっている.前方の低い部分をArcusといい,後方の丈の高いところを板Lamlnaという.板の上縁の中央にはわずかなくぼみがあり,その両側に突出した卵円形の関節面があって披裂軟骨をのせている.この関節面を披裂関節面Facles articularis arytaenoideaという.

 輪状軟骨の外面は凸をなしていて,前方と側方は平滑である.後面の正中線には垂直にのびる高まりがあり,その両側にかなり広いくぼみがあって,そこから後輪状披裂筋が起こっている.側面には左右それぞれ1つずつの円くて小さい低い高まりがあって甲状関節面Facles articularls thyreoideaといい,甲状軟骨の下角を受けている

 輪状軟骨の内面は全く平滑であって,横断すると下縁はだいたい円筒形であるが,上にすすむにつれて側方から押された形になり楕円形をていする.

3. 披裂軟骨Cartilago arytaenoides, Gießbeckenknorpel (図185187)

 披裂軟骨は三角錐の形をしている.その4つの面のうち後面は広くて3角形をしており,上方から下方にかけてえぐつた形である.前面(または外側面)には上方にすすむ弓状のたかまり,すなわち弓状稜Crista arcuataがあって,これは上方で小丘Colliculusにおいて終わっている 弓状稜によってこの面は上下に並ぶ3つの部に分けられる.そのうち下部は楕円窩Fovea oblongaといって甲状披裂筋の付くところである.中央部は三角窩Fovea trlangularisといい,かなり深いくぼみである.上部は3角形でなめらかである.披裂軟骨の内側面はこれまでの3つの面のうちで面積がもっとも小さく,向き合った他側の軟骨の同じ面とほぼ平行しており,静止の時には矢状面上にある.つぎに下面Basisといいわずかにくぼんでおり,かなり目立った関節面Facles artlcularlsを作っている.底から2つの突起が特に出ばつていて,そのうち後外側に向う円みをおびたものが筋突起Processus muscularisであり,前方に突きだしている尖った方が声帯突起Processus vocalisである.声帯突起には声帯靱帯が付着し,筋突起には披裂筋群がついている.

 披裂軟骨の上端はApexといって,後方かつ内側に向かって,円みをおびて終わっている.そこに小角軟骨がのっている.

4. 小角軟骨Cartllago corniculata(サントリニ軟骨Santorinischer Knorpel) (図185187)

 黄色をおびたごく小さい軟骨で円錐形をしている.披裂軟骨の尖に接していて,この尖をいっそう長くしており,その先端が下方にまがって終わっている.この軟骨は披裂軟骨と合していることがある.

S.137   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る