Rauber Kopsch Band2. 138   

5. 楔状軟骨Cartilago cuneiformis, (ウリスベルグ軟骨Wrisbergscher Knorpel) (図192)

 小さい棒状の軟骨(弾性軟骨組織からなる)で,左右とも披裂喉頭蓋ヒダという粘膜のひだのなかにおさまっている.

6. 喉頭蓋軟骨Cartllago epiglottidis, Kehldeckelknorpel(図188, 190)

 この軟骨は喉頭蓋Epiglottis, Kehldeckelの軟骨性の基礎をなしており,卵円形の板ないし上部を短く切ったハート型の板の形をしていて,喉頭の入口の前方にあり,舌の根もとの後方に高くつき出ている(図84).

 喉頭蓋軟骨は上方が幅ひろく,下方はとがって柄のようになっていて,ここを喉頭蓋軟骨茎Petiolus cartilaginis epiglottidisという.この軟骨は上甲状切痕のやや下方で甲状軟骨の内面に靱帯によって固く着いている.この軟骨の縁や面には小さいくぼみや隙間がたくさんあり,そのなかに小さな腺が存在する.中央には縦走する厚くなった部分がある(喉頭蓋柱Carima epiglottica).側縁は後方に曲がっており,その一部が粘膜の披裂喉頭蓋ヒダのなかに包まれている.喉頭蓋軟骨の舌面の下部は舌根から喉頭蓋にいたる粘膜の下にかくれている(図84).喉頭蓋軟骨の後面は横の軸については中央部がへこんで両側が高く,上下の軸については上部が凹で下部が凸である.

7. 種子軟骨Cartilagines sesamoides, Sesamknorpel

 やや長めの円い形をした小さい弾性軟骨がしばしば声帯靱帯の前端のところにある.いっそうまれであるが披裂軟骨が小角軟骨とつながるところの外側に小さい軟骨のあることがある.また左右の披裂軟骨のあいだの粘膜のひだの中にやや長い俸状の小軟骨が時として存在する.

 喉頭の軟骨はすべて軟骨膜で被われている.そして比較的大きい軟骨の諸部分は硝f軟骨でできていて,この硝子F軟骨がすでに25~30才で石灰化し,また骨化していることがある.

喉頭軟骨の関節と靱帯

 個々の喉頭軟骨は互いに一部は不動性に,一部は可動性につながっている.さらに粘膜のひだが連結の特別ななかだちをするものとして重要視されねばならない.

α. 舌骨甲状膜Membrana hyothyreoidea (図189, 190, 191, 192)

 弾性線維を織りこんだ固い結合組織性の幅の広い靱帯で,甲状軟骨の上縁ぜんたいから起こって上方にのびて舌骨の傾斜した下面の後上縁に達している.

 舌骨と甲状軟骨の間にはたいてい胸骨舌筋嚢Bursa m. sterllohyoideiという滑液包がある.--舌骨甲状膜は左右とも上喉頭神経,上喉頭動脈によって貫かれている.

 舌骨甲状膜の中央部は厚くて丈夫である.この部分は中舌骨甲状靱帯Lig. hyothyreoldeum mediumとも呼ばれる(図189).これに薄く疎な側方がつづいている.その最も外側の縁に沿って,甲状軟骨の上角と舌骨の大角の円くなった端のあいだに黄色をおびた外側舌骨甲状靱帯Lig. hyothyreoideum lateraleが走っている.この靱帯はしばしばやや長めの軟骨片を包んでいて,これを麦粒軟骨Cartilago triticeaという.これはときとして石灰化している(図190,193).

β. 輪状甲状関節Articulus cricothyreoldeus (図189, 195)

 この関節はゆるい関節包で包まれていて,輪状甲状[関節]靱帯Ligg. articuli crlcothyreoideiがそれを補強している.

 この関節はときおり線維軟骨結合をなしているようである(Schumacher. Wlener Klin Wochenschr.1924).その靱帯は大部分が弾性線維からできている.

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最終更新日13/02/03

 

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