歴史的な偉大な解剖学書
薄い板状の筋で,前方は甲状軟骨の内面から始まり後方ならびに上方にすすんで喉頭蓋にいたる.
斜披裂小角筋M. arycorniculatus obliquus (Luschka).これは披裂喉頭蓋筋から分れて,小角軟骨の先端に終る筋束である.
直披裂小角筋M. arycorniculatus rectus(Luschka).これは披裂軟骨の後面から出て,小角軟骨の凹側に小さい腱をもって付く筋束である.
輪状甲状筋は甲状軟骨を前下方に引く.そのさい披裂軟骨が固定していると,甲状軟骨と声帯突起との距離が大きくなり,声帯ヒダは(受動的に)緊張する.
後輪状披裂筋(臨床家のいう“Posticus”)は披裂軟骨の筋突起を後下方に引く.それによって声帯突起は外側かつ上方に動き声門が広くなる(図195).
[図195~197]“Posticus”(図195)“Lateralis”(図196)“Transversus”(図197)が披裂筋と声帯ヒダに対して如何に作用するかを示す模型図 黒は始めの位置,赤は終りの位置,矢印は筋の引く力の方向を示す.(Denker-Brünings Lehrbuch 1915による)
外側輪状披裂筋(“Lateralis”)これは後輪状披裂筋の拮抗筋で披裂軟骨の筋突起を前下方に引く.それによって声帯突起の先端は内側に動き声門の膜間部が狭くなる(図196).
披裂筋(“Transversus”)は左右の披裂軟骨をたがいに近ずげ,声門の軟骨間部を狭くする(図197).
披裂喉頭蓋筋は喉頭蓋を後下方に引く.
甲状喉頭蓋筋は喉頭蓋の上縁を後下方に引く.
声帯筋(“Internus”)は声帯ヒダにその働きに必要な緊張をあたえる.もっともあたえられる緊張度は個々の場合で野なるものである.
声門を広げたり狭くしたりすることは声帯ヒダをゆるめたり緊張さぜたりすることとは関係がない.声門が狭いときに,ゆるんだ声帯ヒダで取りまかれ,広いときに緊張した声帯ヒダでかこまれていることがある.
神経支配:輪状甲状筋は上喉頭神経に支配され,そのほかの喉頭筋はみな下喉頭神経で支配されている.
喉頭粘膜にはいくつかのひだがあり,そのうち一部は喉頭の内部に,一部は喉頭口に,一部は喉頭口の外にある.
1. 正中舌喉頭蓋ヒダ,外側舌喉頭蓋ヒダPlica glossoepiglottica medlana, Plicae glossoepiglotticae laterales.
これらは結合組織を内部にもつ粘膜のひだで,舌の根もとから喉頭蓋の舌面の上にのびている(図69).この2つのヒダのあいだに喉頭蓋谷Valleculae epiglottidisがある.
最終更新日13/02/03