Rauber Kopsch Band2. 177   

ときおり1側の腎臓(たいてい右腎)が腰椎の下端の前方にあって,円形ないし楕円形の板状物をなしている.このようなときに血管はたいてい前面に開口しており,ここは腎洞が広く延びたという形をしている.両側の腎臓が脊柱と大血管の前方を横走する中央の部分をもって下方でつながって,1つに合してい為ことがある.このような変り方をした腎臓は半月形をなしてそのへこんだがわを上方にむけている.その形からして馬蹄腎Hufeisenniereと呼ばれる.ときおり両側のものがたがいにつながった腎臓が腰部の片がわや骨盤のなかにあったりする.

 腎臓の数のふえていることがある.趣めてまれであるが3つの腎臓が存在する.余分の腎臓は脊柱の前方か,または左右どちらかの1側にあったり骨盤のなかにあったりする.

[図237]右の腎臓と腎上体の前面における他の諸器官との接触面

[図238]左の腎臓と腎上体の前面における他の諸器官との接触面

 子供の腎臓は成人よりもかなり下方にある.子供ではかなり多くの例において腸骨稜のところに達している(Gerota). Petrén(1934)によると2才までの幼児では右腎の上極は第12胸椎の下縁の高さにあり,下極は第5腰椎の下縁の高さにある.それに対して5~7才では上極は第12胸椎の上部の高さにあり,11才を超えた子供では下極が第3腰椎の上の高さにあるという.それゆえ右腎の上極はだいたい1椎骨分,下極は2椎骨分だけ上方に移動する.左腎の上極は2才から11才までの間に半椎体だけ上方に動き,下趣は2椎体も上方に動くのである.

腎臓の被膜と固定装置(図239)

1. 脂肪嚢Capsula adiposa.これは腹膜と腎筋膜Fasciae renalesを除くと腎臓のいちばん外の被いであり,疎な脂肪組織からできている.この脂肪は非常にやせこけた人以外には必ず存在する.脂肪嚢は腎洞のなかにはいりこみ,尿管の初まりのところで終わっている.

2. 線維被膜Tunica fibrosa.強い結合組織の膜で,平滑な被いとなって腎臓を包んでいる.

 弾性成分はそのなかに少ししかまざつていない.腎臓に割面を入れたときにこの被膜は腎臓が健康なばあいは実質の表面から容易にはぐことができる.

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最終更新日13/02/03

 

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