Rauber Kopsch Band2. 183   

尿細管は糸球体Glomerulumという特殊な糸玉状の血管を内部に収めている中空の球の形をした部分から始まる.この部分を糸球体嚢Capsula glomeruliという.

糸球体嚢からは尿細管の曲部portio convoluta tubuli renalesが尿細管頚Collum tubull renalisというくびれたところをもって始まっている.曲部はこの尿細管が属しているマルピギー小体の近くで不規則な多数のうねりをする.

2. このうねった尿細管の部分につづいてU字形の尿細管の係蹄部pars laqueiformis tubuli renalis,いわゆるヘンレ係蹄Henlesche Schleifeがある.係蹄部は髄放線と髄質の中を走っている.係蹄部には乳頭の方に向う下行脚(腎盂の方向にすすむPelvipetal)Crus descendens, absteigender Schenkelと上行脚(腎盂から遠ざかるpelvifugal)Crus ascendens, aufsteigen der Schenkelからできている.下行脚は髄放線の方向をとって長短いろいろの距離だけ髄質のなかをすすみ,ついで急にまがって方向を変えて上行脚となる.上行脚はまっすぐかあるいは少し波状にうねって皮質に戻っている.方向を変えるところを係蹄の頂Vertex, Schleifenscheitelという.

[図243]1つの乳頭を切断したもの 尿細管に注入してある ×6

 乳頭に向かってすすむ尿細管は何度か合流して次第に数を減じ,少数の管となって多少のへだたりを正叡の間にもって乳頭に開口している.

[図244]ヒトの腎乳頭 表面から節状野と乳頭孔およびその周囲をみたところ.

 a 小さな単一乳頭,b 大きな単一乳頭,c 複合乳頭 ×20

 ヘンレ係蹄をその口径によって3部に分ける.まず太い部分,ついで細い部分,つぎの第3番目はふたたび太い部分である.初めの太い部分と細い部分の移行はつねに下行脚において起る.細い部分と第3番目の移行は下行脚か上行脚のいずれかにある.

3. 係蹄の上行脚は少しうねって走っていて,皮質の曲部にある中間部Pars intermedia tubuli renalis, すなわち介在部Schaltstück(以前には第2次曲尿細管Tubulus contortus II. ordinisと呼ばれた)に続いている.

4. 介在部は尿細管の導出部である集合管Pars colligens tubuli renalisへの移行部である.個々の介在部は第1次の枝Ramus primariusと呼ばれている細い管(集合細管Sammelröhrchen,小川鼎三付記)に続いている.第1次の枝は髄放線の縁のところにある(図241, 242).これら第1次の枝の2本が合して第2次の枝Ramus secundariusとなる.第2次の枝の2本が集まって1本の3次の枝Ramus tertiariusとなる.こうしてずっと乳頭の先端まで達し,それまでに何本かの太い枝が合して乳頭管となり,これが乳頭孔をもって乳頭の先端に開口している.かくして覚一乳頭には15~20個の乳頭管があって,これが篩状野Area cribriformisに開いている.

 乳頭の頂の表面を落射照明でみると図244 aからcまでに示すようなものが見られ,ここを縦断してみた像(図242, 243)が事がらをいっそうよく理解させる. 図244aは人の腎臓の小さな単一乳頭,図244bは大きな単一乳頭,図244cは複合乳頭である.

S.183   

最終更新日13/02/03

 

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