Rauber Kopsch Band2. 190   

 極枕Polkissen(K. W. Zimmermann, Z. mikr.-anat. Forsch., 32. Bd.,1933)は輸入細動脈の壁にある丸みをおびた大きな細胞の集まりである(図251)この細胞は内皮の管を一様にとりかこむような配列をしていないで,血管極の近くの1ヵ所に集まっていることが普通である.

[図260]ヒトの腎臓における動脈の走行模型 (M. Gännsslen作図).

 a, b 葉間動脈;c 放線状皮質動脈;d 輸入細動脈;e 糸球体;f 輸出細動脈 g 丸い網目をもつ毛細管網;h 髄放線の長い網目をもつ毛細管網;i 糸球体と関係なく終る細小枝freier Wipfelast; k 輸入細動脈から出る枝で糸球体と関係のないもの;l 放線状皮質動脈の幹から出る枝で糸球体と関係のないもの; m 筋質膜に向う細い被膜枝;n 穿通して線維被膜に達するもの;o 貫通する太い被膜の血管;p穿通動脈(Haller--Hyrtl);q 仮性直細動脈;r 真性直細動脈;s 伴行血管(真性直細動脈);t 髄質の直走する血管;u 髄質内の毛細管網.

この細胞は血管の中膜が変形したもので,多数の神経をもっているといわれる.極傍細胞群paraportale Zellengruppen(Becher, Morph. Jahrb.,85. Bd. )はマルピギー小体の血管極の近くにあり,上皮様の形態をした細胞の集まりであって,介在部の上皮に由来するもので,神経を受けている.放線動脈に沿って存在するこれに相当する細胞の集団は血管傍細胞群Paravaskulare Zellgrappenと名づけられている.密斑Macula densa(K. W. Zimmermann)は介在部の一部であって,所属する輸入細動脈に接するところで著しく核に富んでいる部分である.Sockelplasmodium(Sockelは台座の意味, 小川鼎三)は2つの細動脈(輸入細動脈と輸出細動脈)の作る角のところにある細胞集団である.これらの装置は極枕の細胞がふくれると輸入細動脈を通る血流がさえぎられることによって糸球体の機能を調節するものといわれている(Becher, Ärztliche Forsch., III. Jahrg.,1949, Anat. Nachr., Bd.1,1950).

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最終更新日13/02/03

 

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