Rauber Kopsch Band2. 192   

Hirt(Z. Anat. u. Entw., 73, Bd.,1924)によるとそのほか多数の細い神経束が腎上体から腎臓の被膜を貫いて腎皮質にはいっているという.

 線維被膜には細い神経東からなる繊細な神経叢がある.これからごく細い無髄の神経緯維が出て,これ,が恐らく第2の神経網をなしていると考えられる(Stöhr jr., Z. Anat. u. Entw., 71. Bd.,1924).

 腎臓の機能:腎臓は体のなかで水と塩類,および蛋白の分解によって生じた最終産物を排泄する器官である.この排泄は能動的な細胞の働きによるものか,あるいは単なる濾過の現象であるかは昔から研究されていて,いろいろな意見が報告されてきた.また尿細管のどの部分で尿のいろんな成分が分泌されるかということが問題なのである.腎臓は半透膜を備えた単なる濾過器であるとは考えられない.というのはもしそうならば糸球体は1日に約60リットルの水を排出して,そのうちのほとんど58リットルが尿細管で逆吸収されなければならないからである.こんな大きいエネルギーの消費は当を得ていないし,腎臓に供給される酸素の消費量とも合わない.いずれにしても腎臓は常に一定した低い濃度の血液から,極めて変動に富み,しかも高濃度である尿を生産している事実から,腎臓の細胞は能動的な(自律神経系に支配されている),かつ正確に調節のできる腺の能力をもっていると考えられる.

 尿の個々の成分が尿細管のどの部分から分泌されるかという問題についてもいろいろ議論されてきた.今のところ恐らく糸球体も尿細管も同じ物質を分泌する能力をもっているのであろうと考えられる.この両者の本質的な相異は尿として分泌される成分の濃度に関している.糸球体はほとんど純粋の水を多量に排出し,尿細管は高度に濃縮された尿素と食塩をだすことができる.尿細管の細胞は貯蔵器官であるらしく,取り入れた物質を恐らくはコロイド粒子に吸着して貯え,糸球体から排出される水の量に応じて送り出しているのであろう(W. B. Meyer in Med. Welt 1930).

 この見解が正しいことを示す証拠としてHirtとEllingerの研究があげられる.この人たちは(Arch.exper. Path.,150. Bd. )生きているカエルにおいて腎臓の分泌作用を顕微鏡下に観察した そして螢光色素の排出と吸収を紫外線によって観察したのである 色素は糸球体において出されて膀胱まで達し,そのさい尿細管あ全体にわたって色素やアルカリ,および水の逆吸収が見られた.糸球体が休止しているとき,または休止させられているとき,色素は尿細管の初まりの部の細胞から排泄される.しかし水はごく少量しか出されない.また無機塩の位置と量について尿細管のいろいろな部分の灰化標本をつくって顕微鏡セしらべた結果によると曲部の細胞が内腔に面したところでその分泌と吸収を営んでいる(Meier, F., Inaug.-Diss., Bern 1941, Hlntzsche, E., Schweiz. med. Wochenschr.1942).マルピギー小体の嚢内腔には無機塩が痕跡的にしか証萌されない.曲部ではその内腔が多かれ少かれ無機塩で充たされていて,曲部の上皮細胞は特にその内腔に接している部分に多量の塩をもっている.係蹄部にはごくわずかの無機塩しか含まれていないが,集合管になるとまた比較的多量の無機塩が見られる.

 Peter, Untersuchungen Uber Bau u. Entw. der Niere, Heft 1, Jena 1909;Heft 2,1927--Gännsslen, M., Der feinere Gefäßaufbau gesunder. und kranker menschlicher Nieren. Ergeb. inneren Med. u. Kinderheilk, , 47. Bd.,1934.

 

B.腎盂と尿管Pelvis renalis et Ureter, Nierenbecken und Harnleiter

 腎乳頭は管状の膜性の袋,すなわち腎杯Calices renales, Nierenkelcheによって包まれている.腎杯は乳頭の底部にくここにいている.腎杯はただ1個の乳頭を包んでいるのが普通であるが,しばしば2個の乳頭,ときには3個の乳頭が1つの腎杯で包まれている.

 腎杯は腎盂Pelvis renalis(Pyelum), Nierenbeckenに開口し,腎盂は尿管Ureter, Harnleiterに移行している(図240, 263, 264, 265).

 腎盂の形はさまざまであって,短い腎杯をもった広い袋のようなこともあるし,多少とも長い中間部をもった管状の形をしていることもある(図263, 264).

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最終更新日13/02/03

 

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