Rauber Kopsch Band2. 202   

腎上体の微細構造(図271, 272)

 皮質Substantia corticalis, Rindensubstanzは3層からできていて,その3層は外方から内方に向かって球状帯Zona glomerulosa(multiformis, Bachmann),束状帯Zona fasciculata,網状帯Zona reticularisとよばれる.すなわち皮質の細胞は外層では小さな団塊を作り,中層では柱をなして並び,内層では網状の索をなして並んでいる.それと共に網胞の形も円みをおびた多角形から長い円柱形までの移行がある.原形質は多数の褐色がかった色素とリポイドの小粒をもっている.色素は主として外方の層にあり,また髄質の近くの細胞にある.細胞の間には太い毛細管がある.

[図271]腎上体27才の男(横断)

 髄質Substantia medullaris, Marksubstanzははなはだ多数の血管,とくに静脈をもっている.繊細な網のなかに大きな細胞があって,その一部は短い突起をもっている.この細胞は青白くて,細かい粒子性を呈し,大きな核と多量の脂肪粒,および色素粒子をもっている.これらの細胞はクローム塩を盛んにとる性質をもっている.それゆえクローム親性細胞chromaffine Zellenと名づけられている.

 腎上体の動脈は一部は大動脈から直接に(腎上体動脈),一部は下横隔動脈(腎上体枝),一部は腎動脈(腎上体枝)から来ている.動脈はこの器官のなかに広がって,細胞の集りを毛細管で取り囲み,ついで普通は一本の左と右の腎上体静脈となって腎上体の門から出てゆく.腎上体静脈は右は下大静脈に,左は腎静脈に開口している.

 リンパ管は被膜と実質のなかで豊富な網を作っている.毛細リンパ管から集まってくる枝は一部は被膜のリンパの幹に移行し,一部は腎上体静脈を取り巻くリンパ管網に開いている.この網から門の近くで2本の幹が出て,静脈といっしょに外に出てゆく.

S.202   

最終更新日13/02/03

 

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