Rauber Kopsch Band2. 203   

 神経はたくさんあるが,大部分は無髄である.これらの神経は腹腔神経節の外側部から出て,それに横隔神経叢からの細い枝が加わっている.また小さな神経節をもっている.そして腎上体を放射状に貫いて,その内部で神経叢を作っている.ここには神経細胞が大小の群をなして散在している.近年の研究によると髄質の分枝した細胞が神経線維とつながっていて,つまりこの細胞は神経細胞と考えられるのである.

 副腎間体Corpora interrenalia accessoria, accessorische Nebenniereのみられることがはなはだしばしばである.これは皮質のみからできていることが多く,本来の腎上体の近くや,もっと下方で精巣,卵巣のところや,子宮広ヒダにもある.

 年令差と男女の差は皮質にみられる(Stieve 1946).20~50才の男は同年令の女にくらべて網状帯の幅がせまい.年をとったための変化は主に束状帯に起り,細胞索が秩序を失って,その細胞はいっそう大きくなり,リポイドも多くなる.若干のものは脂肪細胞の形をとっている.

[図272]腎上体皮質の束状帯の一部 27才の男

 Eggeling, H. von, Anat. Anz.,1. Bd.,1902, -Kumita, Arch. Anat. Phy.,1909--Hett, I. , Z. mikr.-anat. Forsch., 3. Bd.,1925.

II.生殖器Organa genitalia, Geschlechtsorgane

序論

 生殖器は個体の限られた短い一生に役だつものではなくて,その繁殖をつかさどり,従って種族の保存のための臓器である.生殖器は新しい生命を生みだす胚細胞を蔵しているだけでなく,胚細胞をそのできる場所から運び出して,それを都合のよい場所に保存して,さらにこれを生長させる役目をもっている.このような仕事を営む部分を内部生殖器innere Geschlechtsorganeと名づける.それに対して外部生殖器äußere Geschlechtsorgdneがあって,男女両性の胚の要素Keimstoffeの合一にあずかっている.

 両性Bisexualitätの問題:個体にあるほかのすべての器官は男女両性において形,構造とも本質的に一致している.しかし生殖器に関してはそうでない.しかも胎児においてはまず男女両性のための生殖器が作られるが,ほとんど全部の個体ではそのうちの1つの性に対する原基のみが発達して,いま1つの性に対する器官は痕跡的に残るかあるいは退化してしまう.したがって性差は発生の途中において生じてくるのである.

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最終更新日13/02/03

 

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