Rauber Kopsch Band2. 226   

 腟口Ostium vaginae, Scheidenmundは処女では円い形をしていて,後縁はたいてい鋭くへこんでいる.前縁はしばしば少し後方に突きでているように見える(図292).前縁が強く突出している場合には腟口は半月形を呈している.へこんでいる後縁がひだの形をして腟の入口にのび出している.すなわちこのひだは腟を下方から不完全に境する壁であって,上方は腟の後壁に続いている.これを処女膜Hymen, Scheidenklappe, Jungfernhaütchenという(図292).

[図295]前庭球(青く塗つてある)を外方からみる×1

 海綿体に色素を注入して剖出したもの,大小陰唇を取り除いてある.

1. 恥骨結合;2. 恥骨;3. 坐骨;4. 坐骨結節;5. 腔前庭(外尿道口と腔口がみえる);6. 肛門;7. 陰核亀頭;8. 陰核提靱帯;9. 陰核背静脈叢;10. 前庭球;11. 大前庭腺;12. 陰核脚;13. 球海綿体筋(陰核への停止は少し強調して画いてある).

 処女膜は半月形をしているのが普通で,こういうものを半月状処女膜Hymen semilunarisという.ときおりひだが腔の入口を輪状にとりまいていて,中央に穴のある膜の形をしている.これを輪状処女膜Hymen anularisという.比較的まれであるがいくつかの穴のあいたフルイのような膜であることもあり,これを篩状処女膜Hymen cribriformisという.ときには粘膜の薄い膜で腔の入口が完全に閉じられている.このようなものは無孔処女膜Hymen imperforatusという.そのほか処女膜が丈の低いひだになっていたり,完全にないこともある.性交やそのほかの外力によって処女膜が破れる.そのあとがいろいろな形をして残って,疲痕化して,腔口の縁に不規則な形をしたでこぼこができる.これを処女膜痕Carunculae hymenales としいう.

 腟口の周りの全体に小前庭腺Glandulae vestibulares minoresという多数の粘液腺があって,輪状にとり巻いている.小前庭腺は前方で外尿道口を取り巻いている粘液腺といっしょになる.この腺は短い単一性の腺体をもっておるが,分枝した導管系もみられる.

前庭球Bulbi vestibuli(図295)

 陰核海綿体と陰核亀頭のほかに,前庭の両がわにあたって大きな静脈のかたまりがもりあがっている.その長さは3.0~3.5cm,厚さは1cmないしそれ以上である.

S.226   

最終更新日13/02/03

 

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